約 3,810,515 件
https://w.atwiki.jp/memotyo/pages/17.html
アーマード・コアシリーズの第二作目。 ストーリー 『地下複合都市「アンバー・クラウン」に侵入して欲しい』 たったそれだけの文面の依頼を引き受けた主人公は、女性レイヴン・スミカと共にウェンズデイ機関と呼ばれる組織と戦う。この機関は強化人間技術を発展させた兵器「ファンタズマ」を開発していた。そして主人公達はファンタズマ奪取を図るレイヴン・スティンガーと死闘を繰り広げることとなる。 関連用語 ARMORED CORE ARMORED CORE MASTER OF ARENA ウェンズデイ機関 ファンタズマ ファンタズマ計画
https://w.atwiki.jp/achdh/pages/77.html
第十話/ /第十一話*② 第十一話 執筆者:CHU 曰く――幾多の大企業の本社ビルが置かれ、常に権謀術数が渦巻く坩堝。 曰く――他者を少しでも出し抜き、甘露にありつこうとする狸共の巣穴。 あらゆるシェルター都市を凌駕した堅牢な都市防衛機能――最早要塞とも呼べるレベルのそれを備えたエデンタイプコロニー。それがこの〈エデンⅠ〉だ。 グローバルコーテックスもまた、他の巨大軍需企業と相違無く〈エデンⅠ〉に本社を置いている。 そのコーテックス本社ビルの地下三階から地下九階は、『自衛と自社占有利益の確保』を標榜する《特殊技術戦力開発局》の研究棟となっている。完璧な防音処理が施された研究棟の一室で、今まさに密談が始まろうとしていた。 一人は青いロングコートに身を包んだ若い風貌の男――グローバルコーテックス専属レイヴンのスワローだ。 そしてもう一人は、特殊技術戦力開発局の局長であるディタ・エイジアだった。 本来、秘匿回線を用いれば『直接会う』必要はどこにもない。高度に量子暗号化された通信は、傍受される恐れもほぼ無い上、何より直接出向く労力も省けるのだ。にも関わらず、スワローはこういったミーティングの際に、相手方に直接出向く手法を執っていた。 有り体に言えば、スワローのナンセンスな行動は全て趣味だった。そうしたいから、単にそうするのである。 ただ、相手の都合を良く踏まえているため不満が出ることは稀で、むしろ女性相手には受けが良かった。 ディタもまたその一人である。 湯気の立つコーヒー(容物は実験用のビーカーだったが)を丁度二人を間仕切るように配置されたテーブルに置き、ディタが割合上機嫌な声色で口を開く。 「こうしてわざわざ会いに来てくれたのはいつ以来かしら?最近は新人のオペレーターさんにご執心な様だから――会えて嬉しいわ、スワロー」 「ボクもだよディタ。確か前に会いに来たのはICS導入実験の時だったかな?……いや、その前にディナーをご一緒した方が先か」 スワローが宙に視線を彷徨わせながら記憶を遡り応えた。 二人は仕事上の付き合いだけではなく、プライベートでも男女の付き合いがあった。 コーヒーで口を湿らせながら、ディタの目がスワローの左腕に向けられる。 「あら、怪我はもういいのかしら?」 先の作戦――クレストの新型ACとの交戦によって、スワローは重傷と言って差し支えない傷を負った。 異常速度による戦闘機動をGキャンセラー無しで行ったことに加え、ICSの特性上、機体ダメージの幾らかがパイロットにフィードバックされてしまうためだ。 スワローをガレージで出迎えたスタッフの中に、医療チームと担架が用意されていた事を考慮すれば、今ここにスワローが何食わぬ顔で座って居る方が異常なのだ。 常人なら良くて意識不明の重体、普通は死んでいてもおかしくはないダメージだった。 本来ならば包帯でミイラのようにぐるぐる巻きにされ、病室のベッドで絶対安静にせねばならない程の損傷を、スワローは一週間で完治してみせた。 それはこの男に施された強化手術に依る恩恵だった。 骨格の八割をセラミックとチタンの複合強化骨格に置き換え、体内にある何百億ものナノマシンが代謝機能や自然治癒力を数十倍にも高めている。内臓も全て人工器官に変え、強化筋繊維があらゆる衝撃に対して強い抵抗性を発揮している。 そういった、真っ当な人間としての生を捨て去った代償に得た報酬だ。 スワローは昨日までギプスで固められていた左腕をぐるりと回して見せる。 「この通り。もう大丈夫だ」 「そう、なら良かったわ」 ディタもスワローの身体の事は重々承知している。要するに彼女なりの軽口だった。 お互いに軽い挨拶を済ませ、仕事の顔付きになる。 口火を切ったのは、つい昨日発生した〈エデンⅣ〉へのパルヴァライザー進攻についてだった。 「既に貴方の耳にも届いていると思うけど、昨日の早朝に〈エデンⅣ〉が統制されたパルヴァライザーの襲撃を受けたわ。丁度アリーナの予備大会決勝中だったこともあって事態は相当深刻なようね」 「そのようだね。ボクもコーテックスのお偉方に引っ張りだこだったよ。どこのセクションもてんやわんやの大騒ぎ。寝る間も惜しんで報告書に目を通さなくちゃならなかった」 「あらあら、妬けるわね。大した人気じゃないの色男さん?」 「茶化さないでくれよディタ。鎮圧したとは言え、重軽傷者死亡者合わせて二六〇人――死亡者の内レイヴンは二名。都市機能は完全に麻痺し現在も復旧作業中。外壁には巨大な風穴が開けられて、これに至ってはまだ手付かずだ。コーテックスにとって今回の襲撃は、致命とも言える計り知れない損害さ」 「大変だったのは良く分かっているわ、ごめんなさいね。でも、貴方の関心は別の所でしょう?」 スワローは痛い所を突かれたといったように大仰に肩を竦めた。 「っま、その通りさ。今回の一件で幾らの損失額が出ようが余り興味は無い。それよりもパルヴァライザーを指揮していた『赤いAC』。……ボクにはこちらの方が重要だ」 多数の目撃証言から、今回の襲撃を統率していたとされるACの存在が明らかになっていた。 「【ナインボール】――恐らくAI機体だろうがね。パルヴァライザーを指揮していたことに間違いは無い」 「だとするとやはり統一政府が……?」 「断定しても問題は無い……と思う。一応ボクもお偉方にはそう報告してある」 【統一政府】――既に形骸化していると目されているが、各巨大軍需企業やコーテックスなどの依頼仲介企業を、名ばかりではあるが統括管理する組織だ。 五年前のジシス財団解体の際、プロトタイプネクストである【ナインボール・セラフ】と量産型ナインボールを持ち去ったとされている。 「でも相手が統一政府にせよ理由が不明のままだわ。コーテックスに『NEXT』の臭いを嗅ぎつけたにしても、〈エデンⅣ〉は無関係だもの」 ディタの言い分もまた然りである。 コーテックス社が多大な出資をして都市の利権を一人勝ちしているとは言え、〈エデンⅣ〉に暗部は無い。 対立する企業ならともかく、統一政府に狙われるような理由は見当たらない。 それ故、今回の襲撃事件には謎が多いのだ。 すると、そこまで黙ってビーカーの縁を見つめていたスワローが口を開き、思っても見ない事を言い出した。 「……案外、居るのかもしれない」 「え?」 「〈エデンⅣ〉に生体CPUが居るかもしれない」 「ち、ちょっと待ってスワロー。順序立てて説明して」 言うに事欠いて何を言い出すのか、この男は。 ディタは困惑した。 「〈エデンⅣ〉に生体CPUが居るとすると、今回の襲撃の辻褄が合う。統一政府はその生体CPUを狙ったのだろう」 「でも〈エデンⅣ〉で旧世代施設なんて発見されてない――」 「そうじゃないよディタ」 スワローは苦笑しながら、弟子に教えを聞かす賢者の様に根気よく語った。 「旧世代施設があり、そこから発見されたわけじゃなく、既に誰かが他の場所から入手したと考える。つまり匿っているんだ。匿えるだけの地位と力を持った誰かが」 「……それなら確かに説明は付くわね。そしてある程度、その『誰か』は絞れるとは思う。……でも根拠はあるの?」 それが問題だった。 スワローが今言った事は、机上の空論――根拠の無い眉唾話かもしれないのだ。 「南方にミラージュ社領アディオン地域があるだろう?そこで頻繁に【赤いAC】が武力介入している」 「それは知っているけど、本件と一体どんな関係があるというの」 「その【赤いAC】が出没しているアディオン地域のケレト大断崖で、新しく生体CPUが発見されたそうだ」 「なっ……!」 スワローの語る、その計り知れない情報価値に絶句する。 生体CPUは、あらゆる軍事関係機関が、喉から手が出る程渇望しているものだ。 その存在を巡り、いつ戦争が起きてもおかしくはない。 そして、その生体CPUが発見されたという場所に【赤いAC】が武力介入している――。 「これらの要素を全て偶然で片付ける程、ボクはお人好しでは無いつもりだ」 「あ、貴方の言う通りなら、……ええ、確かに全て符合するわ。でもそんな情報一体ドコから……?」 「なあに、古いツテからの情報さ。――ただ、信用の置ける筋であるのは間違いない」 スワローに気取った様子や、からかっている様子はない。 「ボクは〈エデンⅣ〉に生体CPUが居た、もしくはまだ居る可能性は高いと見る。何故なら、そう考えるのが一番自然だからさ」 そう言ってコーヒーに口を付ける。 ディタには目の前に座るこの男が、幾年月を経た本物の賢者の様に映った。 「コーテックスが貴方を必要としている理由――何となく解る気がするわ」 両手を上げながら、ディタが自嘲気味の笑みを見せた。 「買い被り過ぎさ」 泰然としているスワローであったが、心中は穏やかではなかった。 今まで表舞台には姿を見せなかったその統一政府が、今回の一件の裏で糸を引いているらしい。 どうにもきな臭い話に、スワローは言い知れぬ悪寒を感じずにはいられなかった。 二人は簡単に近況報告を終えると、いよいよ本題に入った。 内容は勿論クレストのパルヴァライザーもどきについてである。 「戦闘データを見る限り、先日貴方が交戦したクレストの新型にネクスト技術が使われているのは間違いないわ。ただ外装がパルヴァライザーに似ていたというのが気掛かりなのよね…」 コホンと一つ咳払いをして、ディタがコーヒー入りのビーカーを弄ぶ。 「ここからは私の推論だけど…」 「構わないよ。聞かせてくれ」 「可能性としてはまず情報の誤認狙い。ネクスト機体ではなく、あくまでもパルヴァライザーの系譜と見せ掛けるため――言ってみれば隠蔽ね。……まあ、貴方にはあっさり看破されたようだけど」 スワローの頭に戦闘中のライラの様子が浮かんだ。 「ふむ、確かにボクの可愛いオペレーターはパルヴァライザーだと勘違いしてたね。ネクストがどういったものか知らない人間からすれば、アレをパルヴァライザーと見間違えるのも無理はない」 「ええ、だから可能性としてはこれが一番高いと思うの。万が一目撃者が出たとしても、良く分からないがパルヴァライザーの改造機だろうと解釈させることで、本質を見えなくさせることが出来る。ネクスト技術はそれだけ秘中の秘ってことね。私達の【ARROWS】だって同じことが言えるのだから。」 確かに【ARROWS】は本来中量二脚だが、捨脱可能な増設装甲を取り付けることで重量二脚機体としてカムフラージュしてある。 「ボクもそれは思い付いたよ、確かに理には適っているからね。ただ君の言い方だとまだあるみたいだけど?」 対面に座るディタを見やる。 いつもの不敵な姿はなりを潜め、自信なさげに言い澱んでいた。 「君の意見なら何でもいいさ。聞かせてくれ、ディタ」 スワローに促され、渋々といった面持ちで考えを述べ始めた。余程確証の持てない話を口にするのは嫌らしい。 「…可能性は低いと思うけど、マルチハイブリッドなのかもしれないわ」 「どういうことだ?」 耳慣れない単語である。 思わず聞き返していた。 「クレストの新型は、パルヴァライザー・ネクスト技術・ノーマル技術、この三つが融合した機体かもしれないの。…ああ、ノーマルというのは我々ネクスト研究者の造語で既存ACのことね」 かつて古代の技術と現代の技術が融合した、既存のあらゆる兵器をも凌駕する機体が開発された。 もっとも、機体は強奪され、現在は行方知れずだが。 ただスワローやディタにとっては馴染み深い機体である。その機体――それは、 「馬鹿な、それではまるで――」 「――新しいナインボール、とも言えるわね」 ただし、とディタが付け加える。 「その可能性は低いと最初に言ったわ。ナインボールの開発は、各分野最高の技術を持った研究者が揃って初めて成し遂げられたの。いくらクレストの技術が優れているとしても、独自の力だけでは不可能なはずよ。」 クレスト如きに自分が携わったAMSやIRSと同等の物が造れるはずがない――ディタからはそういった自信が伝わって来る。 結局結論を出す根拠は自分の力量とプライドに依るのだろう。 そのことにスワローは苦笑するが、ディタの能力を高く評価しているのも事実だ。 彼女の意を汲み、ひとまずこの案件はここまでとする。 「分かった。では先日の報告は以上だ。また何かあれば追って連絡して欲しい。ボクはこれから新人の試験に立ち会わなければならないのでね、準備があるため失礼するよ」 席を立とうと腰を浮かすと、ディタに呼び止められた。 「あっ、ちょっと待ってスワロー。こちらから通達がまだあるのよ」 ディタはデスクの引き出しから一枚のデータディスクを取り出し、それをスワローに手渡しながら努めて事務的に告げる。 「【ARROWS】には今ICSが組み込んでありますが、これをAMSに換装しての起動実験を行います。そのため、現在【ARROWS】は換装作業中につき使用は禁止。換装作業の間は【ベルフェゴル】を使用して下さい。それと、脳波増幅装置を埋め込むのと、AMSの負荷を低減するために、……貴方の脳と脊髄神経に強化手術も行います。実験の詳細や手術の日程もその中に明記してあるので必ず目を通しておいて下さい」 そこで一旦切り、申し訳無さそうに目を伏せた。 「生体CPUが居たらこんな手術必要ないのだけれど。ごめんなさいスワロー……。また貴方を人間では失くしていってしまうわね」 「構わないさ。あの子を失った時、僕自身が決意したことだから」 そう言って顔を近付け、ディタの頬に優しくキスをする。 だがディタの表情は暗いままだ。 研究者としての責務と、人としての良心の呵責に板挟みになり、苛まれているのだろう。 だからスワローはこう言うのだ。気にするなと意を込めて。 「なら、今度また飲みに付き合って欲しいな。それで恨みっこ無しとしよう。ね?」 片目を瞑りおどけてみせる。 そしてようやくディタの顔に笑みを作ることに成功した。 「ええ、そんなことで良いならいくらでも」 フフッと、微かな笑い声が聞こえた。正に微笑という程度のものだったが、美女の笑顔は何よりにも勝る報酬だ。 「よし、決まりだ。ボクはもう行くけど、楽しみにしててよ。旨い酒の店を探しておくからさ」 席を立ちディスクをコートのポケットに入れる。 頭は既に仕事のために切り替えた。 「それじゃ行ってくる」 「いってらっしゃい。私も楽しみにしてるわ、スワロー」 片手を上げて応え、部屋を出る。 次の仕事――新人レイヴン試験の詳細を頭に浮かべながら、コーテックスの廊下を社有ガレージに向かって早足で歩く。 浮ついた気持ちは既に無く、この切り替えの早さも、レイヴンがレイヴンたる所以である。 →Next… ② コメントフォーム 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/achdh/pages/158.html
⑨*⑩*⑪ 変わらず抑揚を欠いた言葉。しかし、ガロはその口調の裏側に僅かな焦りの介在を感じ取っていた。 統合制御体がファントムヘイズとの近接対峙を前に、機体制御態勢の速やかな移行を推奨する。 「知らんだろうな。貴様が世界の裏側でのんびりとしている間に、この地上世界は大きく変容した──」 意思判断し、左腕部に携えた適合兵装を持ち上げる。それに合わせてファントムヘイズも狙撃銃の銃口を動かした。長鑓を思わせる長大なひとつの銃身を基軸とし、レールシステムの搭載によって多種兵装の搭載を可能にした実働試験機体:マルシアの為のみに製造された大型の適合兵装。 『貴様に見せてやる。この五年間、世界がどう動いたのかをな──』 その言葉を最後とし、一方的に通信回線を解除。 統合制御体に指示し、機体制御態勢の速やかな移行を指示する。 その間際、再びハルフテルが最後に言い残した言葉が脳裏をよぎった。 ──悪ければ、それはアンタの速やかな死を意味している その言葉通りだった。機体制御システムと搭乗者を物理接続する事によって、従来の機動兵器とは一線を画す戦闘能力を発揮するネクスト兵器は、本来AMS適性を持つ搭乗者一人のみで制御するものではない。 だが、それこそがエンシェントワークスが推進するネクスト研究の本質だった。 ──生体CPUを一体切り刻んだ 狂っている。そうでなければ辿りつけない場所を、彼らは目指しているのだ。 旧世代ですら成し得なかった境地へと、ネクスト兵器を持って行こうとしている。 モラルも既存の理念も何もかもを置き去りにして、彼らは生み出そうとしている。 ──彼らが望む、真のネクスト兵器を ──何故、志願したか? ──戦場から降りられなくなった兵士に残された道だったから? ──その礎になることが望みだったのか? ──私は ──戦場で生きる事でしか、自分を認められないのだ。 ──この計画の末に、きっとその終わりが待っているはず。 一瞬瞼を下した後、迷いなくコンソールキーを叩いた。 『AMS接続制御態勢、第一種戦闘態勢へ移行します──』 ──理性が灼かれ、溶け出した。自らの願いを戦場で達する為に、私は彼女と一体となった。 溶けゆく意識の中、私の外側で誰かが獣のような咆哮を上げた。 それは、私だったかもしれない。もしかしたら、一体となった"彼女"だったかもしれない── 行こう── AM09;33── * AM08;50── 街が灼け堕ちていくその光景は、決して気分の良いものではない。 住み慣れた古郷を幾度も失ってきた私には、それが耐えられないのだ── ──止められない ヴァネッサの脳裏にそんな焦燥感が過り始めたのは、興行区画で戦線確立の為の防衛戦闘に武力介入し始めてから一時間ほどが過ぎた頃だった。 無尽蔵とも言える兵力差で迫りくる旧世代兵器群の侵行は大きな波となって第三波、第四波ととめどなく続き、途中からヴァネッサはそれを数える事を止めていた。旧世代兵器群の進撃を辛うじて遅らせる事しかできず、反転攻撃の為の戦線確立などは望むべくもない。そして、ヴァネッサの焦りを一層増長させていたのは前方から迫りくる旧世代兵器群の潮に対し、後方でまだ避難誘導により弾雨の中を搔い潜りながら地下シェルターへと一心不乱に逃げ往く一般市民の群だった。 今回の騒乱自体が旧世代兵器群による一方的な奇襲攻撃に端を発していた為、エデンⅣ全域に戦火が拡大するまでに避難シェルターへ退避できた一般市民はおそらく、全体の三割にも満たないはずだ。辛うじて退避に成功したのは主権企業をはじめとする各政財界の官僚や重鎮達のみで、危機管理体制などが行き渡っていない一般市民レベルなどは出動軍の避難誘導を頼って徒歩でシェルターまで向かうしかない。 その一般市民の誘導数が膨大な数に上って後方防衛ラインで衝突し合い、それが返って戦線確立の妨げとなりつつあるのが、現在の戦況の致命的な箇所だった。 興行区画は二十四時間体制で昼夜関係なく栄えるエデンⅣの一大都市区画であり、その集約人数の割合は他区画と比較すべくもない。それが仇となったのだ。 戦線確立のための後退戦闘もまともに行えず、いたずらに友軍戦力のみがじわじわと消耗していく。 現にたった今、興行区画の防衛戦闘に当たっていた友軍AC部隊のうちの一機が旧世代兵器による攻撃で決定打を受け、前線から急速離脱していった。 「また一機やられた……! 後方避難誘導はまだ終わらないのっ?」 『急くな、ヴァネッサ──。増援部隊の到着まで堪えるんだ』 広域防衛区画からのその増援部隊も、後方の混乱に邪魔されて当該戦域への到着がいつになるかは分からない。戦況は確実に悪化修正されているといえる。 決定的な打開策が見当たらない今、最悪の可能性だけが頭の中で反芻される。 「──! 危ないっ」 前衛に展開し、正面の敵の攻撃に囚われていた友軍機の右舷に別の旧世代兵器が姿を現し、ヴァネッサはその敵性動体に向けて右腕兵装であるグレネードライフルの榴弾を撃ち込んだ。 「突出してはダメ、早く下がって!」 『す、すまん──。だが、これではキリがないぞっ……』 搭乗機体である重量逆脚型の機体をラピッドタイドと同一ライン上へ下げながら、グローバルコーテックス帰属のそのレイヴンは、他の例と同じように焦燥感を滲ませた言葉を吐く。 「増援部隊がすぐに到着する。それまでこの防衛ラインを維持するのよ」 統合司令部から通信技官として、戦術支援に当たってくれているリサの言葉をそのまま繰り返す。だが、実際にはその間にも確実に友軍戦力は消耗され続けており、一方的なダメージレースとなる展開は避けられない。 確実に忍び寄る死の影に、誰もがその戦域から遠のきたかった。 しかし、ヴァネッサは震える奥歯をぎりっと噛みしめて抑え込み、操縦把を握り込み直す。無尽蔵に思える敵性兵力にも必ず限界がある。そこまで耐え切らなければこの騒乱を生きて、生き延びることは難しいだろう。 同一ライン上に展開する友軍機と連携して前方から迫り来る旧世代兵器群の侵攻を何とか押しとどめ、その間にも地上に展開していた通常戦力部隊が戦火の煽りを受けて吹き飛ぶ。 瓦礫片と共に飛散した肉片交じりの血雨がラピッドタイドの外部装甲を叩き、ヴァネッサはその光景にわずかに目を細めた。 左腕部と背部の多砲身式回転機関砲で高密度の弾幕を張っていたが左腕部機関砲の残弾数が尽きた。補給部隊の作業用MTが予備弾倉を抱えてラピッドタイドの機体に取りつき、砲身と機体付随のマガジンラックにそれぞれ弾倉を補給する。 『此方補給機、装填を完了した──!』 「助かった、サンキュー──」 その直後、短い悲鳴と共に作業用MTからの無線が途絶える。機体のすぐ傍で起こった爆発を搭載センサー群が捉えたことから、MT機が攻撃の余波を受けて爆散したのだと気づいた。 「ちくしょうっ……!」 作業用MTを一瞬で吹き飛ばしたと思しき旧世代兵器の四脚型パルヴァライザーを捕捉、背部兵装のリニアキャノンを展開、即座にトリガーを絞る。強化推力を与えられた徹甲弾がパルヴァライザーの頭部を過たず消し飛ばす。が、機能停止したその残骸を踏み越えて後方から旧世代兵器群が押し寄せる。 『止むを得ん、防衛ラインを後退するぞ』 「それじゃあ一般市民に被害が及ぶ可能性があるわ……」 『では他にどうするというのだ。我々が此処で撃破されては、護れるものも失ってしまうんだぞっ』 当該戦域のAC戦力の中で便宜上指揮機体のような役割を担っていたコーテックスのレイヴンが、若干の冷静さを欠いた声で言う。しかし、その言葉は戦場に臨む者としての説得力に満ちた声であり、ヴァネッサも異議を申し立てはしたものの同種の人間である事に変わりはなく、それ以上の追及はできなかった。 今此処で、戦力消耗を少しでも遅らせなければ、増援部隊の到着まで防衛ラインをすら守り切ることはできない。 『此方フロント、此れより防衛ラインを後退する──』 指示に従い、友軍機同士で後退支援を行いながら幹線道路上を移動、インターチェンジ付近まで後退した時、其処に駐留していた地上後衛部隊と接触。 指揮機のレイヴンが外部拡声器を用いて、インターチェンジで防衛ラインを構築していた一般部隊に後退を促す。 『お前達も早く下がれ、此処も突破されるぞ──』 その逼迫した声に押されて一般部隊が下がり始めるのもそこそこに、幹線道路上に構築された重バリケードを破壊して友軍機が進入、その時ウエストインターチェンジ方面から装甲輸送車の部隊が此方へ向かってきた。 『逃げ遅れか、急げ──!』 その声が聞こえたのかどうかは分からないが、装甲輸送車はインターチェンジのカーブへ速度を緩めず曲がり込む──しかし、破壊した重バリケードの隙間を縫って飛び込んできた榴弾の弾幕が路上に着弾し、その衝撃波が前衛の装甲輸送車を容易く吹き飛ばした。鋼鉄の匡体が横倒しになって路上を滑走し、その事態に巻き込まれた後続車両が次々と玉突き状に衝突を起こす。 「追いつかれた──」 今しがた後退してきた進入口に早くも追いついてきた旧世代兵器の侵攻部隊が現れ、インターチェンジへ向けて迫撃戦術を展開し始める。友軍AC機が一斉に迎撃弾幕を張るが、それをすり抜けた榴弾群が重バリケードからインターチェンジ内へ降り注ぐ。 走行不能になった輸送車から降り、徒歩での避難を始めていた一般市民と兵士達が榴弾の爆発に巻き込まれて爆煙の中に消え去り、友軍機もまた榴弾による損傷を負う。 「私達が防ぐから、早く市民の避難掩護をお願い!」 悲鳴と断末魔が行き交う地上の様子を視界の隅に収め、ヴァネッサはラピッドタイドの機体を重バリケードの突破口前に移動させた。侵攻部隊の軽い弾幕を分厚い装甲で弾いていなし、御返しとばかりに多砲身式回転機関砲による一斉掃射を浴びせかける。 その文字通り捨て身を賭したヴァネッサの行動に呼応した友軍機達が、重バリケードの上から応対射撃を取り始める。バリケードから一歩突出したラピッドタイドに旧世代兵器群の攻撃が集中し、それを脇から友軍機達が叩き潰す。重戦車であるが故の分厚い外部装甲が幸いし、ラピッドタイドは正面からの被弾にも何とか耐える事が出来た。 『市民の避難距離を稼いだ、下がるぞ──』 コーテックスのレイヴンが指示し、先行して周囲の友軍AC機を下がらせる。そして、最後まで最前衛に残っていたヴァネッサに無線を遣し、 『レイヴン、スイッチだ──』 ヴァネッサの後退戦闘を支援すべく指揮機のレイヴンが代わって前衛へ突出し──その交差の隙を、運悪く旧世代兵器群に突かれてしまった。 その一瞬の隙の間に飛来した徹甲弾が指揮AC機の頭部を粉砕し、その破砕片がラピッドタイドの装甲に降り注ぐ。機体制御を著しく搔き乱され、そこへさらに数発の砲弾が食いついて指揮機の左腕部その他、外部装甲を吹き飛ばしていく。 『くそ──君は早くいけ!』 「でも、貴方はっ──?」 応対姿勢を継続しながら後退するラピッドタイドの前に立つレイヴンは、致命的な被弾を自ら甘んじて受け止め、両背部に搭載した連装型ミサイルコンテナを展開する。 『俺はコーテックスのレイヴンだ。与えられた任務は全うする──幸運を、レイヴン』 ──その言外に含まれた意図にヴァネッサは口許を手で覆った。 旧世代兵器群の追撃がさらに指揮ACの機体に致命打を与え、後退推力をすら失ったレイヴンは至近距離に迫った旧世代兵器群に向けて背部コンテナから大型ミサイルを連続射出した。 ──インターチェンジを含む周囲施設を大きく揺るがす爆炎が前方幹線道路を呑み込み、巨大な噴煙が立ち上る。決死の応対攻撃を行った指揮ACの機体もその爆発に呑み込まれ、その姿はラピッドタイドからは一切確認できない。 『──今のうちに早く下がれ、ヴァネッサ』 リサのその冷静さを欠かない指示にヴァネッサはようやく気を取り戻し、フットペダルを踏み込んでラピッドタイドをインターチェンジから幹線道路後方へ進ませる。 ラピッドタイドの後退を待っていた友軍機がそれに合わせて応対機動を再開するも、その情報を搭載センサー群で捕捉したのだろう、赤々しく燃え上がる爆炎の向こう側から旧世代兵器群が一斉に突出を展開してくる。 「そんな──」 旧世代兵器群は各々の機体を炎に包まれながらも、それには一切構わず追撃戦闘を継続。実弾兵器群による弾幕がラピッドタイドの外部装甲の上を跳ねまわり、徐々に機体損耗率が上昇していくのを戦術支援AIが無機質なヴォイスで報告していく。 やっぱり、止められない──けれど── 一切の怖れを知らず他の感情をも持ち合わせていない旧世代兵器群は、正確な数値判断から導き出される合理的行動に従い、味方機がその場に崩れ落ちようと構わずそれらを踏み越えて侵攻してくる。そんな容赦のない敵を相手に、絶対的に不利な状況下では長く持つはずもなかった。 だが、其処で継続戦闘を放棄する事だけは、ヴァネッサの猛る矜持が一切許そうとしなかった。 ──10年前、先生もそうやって私達を護ってくれた かつての前例があり──その彼女が事実として遣り遂せてくれた。その実力が伴っていない中で自ら速やかな死を所望するのは愚行以外の何物でもない。しかし、それが間違っているとは思うな── 自ら師と仰ぐ彼女は、ヴァネッサにそう諭した。 ふと、ヴァネッサは行き着いた── 「そっか。此処が、私の──」 私の、死線か── 戦場の一線に在り続けるのなら、何れ誰もが直面する時。少年兵の時分だった頃から、そんなモノには慣れ親しんできた。あの頃は恐ろしくすらなかった。護るものが何もなく、ただ自身が憎むモノ全てを灰に変えてしまうだけでよかった。 護るモノが在ると、人は恐れを抱くのだ。 此処は、先生のおかげで生まれ変わった私の、初めての死線── 後方を先行後退する友軍機から届く弾幕がラピッドタイドの周囲を飛び過ぎ、旧世代兵器群の前衛機を破壊すると共にラピッドタイドの後退を同時支援する。 『ぐあ──……!』 その悲鳴と共に友軍機が路上へ崩壊し、その傍をラピッドタイドで通り過ぎる。両脚部と片腕を粉砕されて移動能力を失った友軍機を落下爆雷群が襲い、外部装甲を焦がす。 旧世代兵器群の侵攻速度が確実に増し、それに合わせて友軍部隊も次々と撃破されていく。インターチェンジを出てから数分を待たず、その頃に後退戦闘を継続していたのはラピッドタイドを含めて三機のAC機のみとなっていた。 搭載兵装の弾薬消耗率が30%に近づき、応対戦闘に用いていた主兵装を機関砲群から背部兵装のリニアキャノンへ換装。一撃必殺の砲弾が狙い通り前衛のパルヴァライザーを撃破、しかし後方から瞬く間にスイッチしてきた二機のパルヴァライザーが背部に搭載したコンテナから地対地ミサイルを垂直発射し、計十二基から成る弾頭がラピッドタイドの頭上を越えて後方へ飛んで行く。 一拍後、後方から轟いた崩壊音を搭載センサー群が捕捉、後方視界用のサブカメラから転送されてきた映像をメインディスプレイに映し出した。 後退進路の高架幹線道路が崩落し、そこから奈落の底の闇がのぞいていた。其処にいた二機のACは辛うじて回避機動をとったらしいが、致命的な損壊を受けて分断された幹線道路の先で機能を停止していた。 「分断された──」 崩落距離は目測で約55メートル──爆発の衝撃派に巻き込まれて崩落距離が伸びたのだろう。旧世代兵器群が前方百数十メートルに迫り、ヴァネッサはブースタ用フットペダルに足をかけようとし、そこで踏み込むのを躊躇した。 『増援部隊が間もなく到着する、耐えろヴァネッサ──!』 リサが珍しく感情を表出させた口調で言う。統合司令部のヴァネッサから転送されてくる広域索敵レーダーに、自機後方から複数の動体反応が接近してきていた。 操縦把を握り込みなおし、崩落した幹線道路の断崖ギリギリまでラピッドタイドの機体を近づける。 重戦車型機体にも基本、強化推力用のブースタ機構は搭載されている。しかし、それらは緊急機動用の推力機能として扱われる事が多い。その為長距離移動用や巡航用機能としての調整は成されておらず、極めて短距離でしかブースタ機構は使用できない場合がほとんどである。 ラピッドタイドもその例に漏れず、実働試験の際にブースタ機構を用いた時の最大航続距離は僅かに直線距離50メートル程度であった。 ギリギリだが、行けない距離ではないかもしれない。後退飛行中に応対行動を行いながらでないと渡り切れる可能性は低く、しかし、射撃反動や被弾による推力低下を鑑みると、ブースタ機構を用いる選択肢はどうにも無理があった。 リニアキャノンによる精密な遠距離砲撃で一体一体を確実に撃破──計5,6機を前方に沈め、増援部隊の到着が残り約二分に迫っていた時だった。 ──旧世代兵器群の攻撃が不意に止み、やがて奴らの群列が左右に別れて中央から一機の機影が姿を現した。 軽量二脚型を模り、両腕部マニピュレーターに既存の実弾型機関砲とレーザーブレードと思しき発振機構を備えたパルヴァライザー──。 戦術支援AIに詳細解析を進行させるが、データバンクから当該情報は検出されなかった。 「まさか、新型機──。此処でそんな隠し玉を出してくるなんて……」 取り捲きの旧世代兵器群は一切の進撃行動を停止しどうやら待機状態へと移行しているようであった。どうやら、新型機と思しきパルヴァライザーの戦術展開を邪魔しないためであると、ヴァネッサは推測した。 相手から先制攻撃を行う予備動作は見受けられない。その分増援部隊の到着までの時間稼ぎにはなるだろうが、その事実を旧世代兵器群が捕捉していないはずはない。 その事に疑問を呈した瞬間の事だった。まるで空間を切り貼りするかのようなブースタ推力でパルヴァライザーが正面から突進を仕掛け、ヴァネッサは一拍遅れて応対射撃を取った。 左腕部の短機関砲で牽制の意味合いを含んだ弾幕を張り、それに紛れて精密に狙いすましたリニアキャノンの砲弾を撃ち放つ。強化推力を得た砲弾は狙った頭部へと吸い込まれていくが着弾の刹那、パルヴァライザーは圧倒的な機動力で事も投げに強化推力の砲弾を回避して見せた。 (なんて早さなの──他とはまるで違う!) それはこれまで相手にしてきたパルヴァライザーとは全く性質を異にしていると、ヴァネッサは直感した。これまでの敵は圧倒的な兵力差で迫ってきはしたものの、いずれもが突出性のない画一的な機能であった為になんとか数機の友軍ACのみで対応する事が出来た。 だが、これは違う──! これまでのパルヴァライザーとは違う、そいつだけ全く桁違いの高性能な戦術判断AIを搭載しているとしか思えないほどの戦術展開能力である。 制圧射撃を旨とする高密度火力で圧倒しているつもりが、それを最大限の機動展開で回避し、残りは外部装甲のみで弾いていなされる。ものの数秒で距離を目前にまで詰められ、背部から展開した大型グレネードキャノンの砲口がラピッドタイドを捉えた。 重装甲による高度な防弾能力を持つラピッドタイドとはいえ、度重なる被弾で消耗した外部装甲ではどこまでその攻撃を無力化できるか分からない。もし当たり所が悪ければ── そんな可能性が脳裏をよぎった時、こちらを完全に捕捉したパルヴァライザーが背部大型グレネードキャノンから榴弾を射出した。 「くそ──!」 まっ直ぐに飛来してくる榴弾の直撃は避けられないと直感的に悟ったヴァネッサだった──が、外部装甲に衝突するその刹那、後方上空から不意に一筋の光線が榴弾を巻き込んで眼前の幹線道路上へ突き刺さった。 圧倒的熱量で焼かれた榴弾が誘爆し、わずかな破片が軽くラピッドタイドの外部装甲を叩く。 『増援部隊が到着したぞ──!』 続けて、 『遅くなってすまない、ヴァネッサ──』 リサとは異なるその声に驚いて言葉を発しようとした時、ひとつの機影が頭上を通り越してラピッドタイドとパルヴァライザーの間へ降り立つ。──クレスト社純製パーツで構成された純白の軽量二脚機体、それはたった数時間前にアリーナ予備大会決勝で対戦した知己のものだった。 「ジェリー……!」 『戦況が芳しくないって聞いてね。統合司令部に直接掛け合って許可してもらったんだ』 「──怪我は大丈夫なの?」 その気づかいにジェリーは搭乗機体ブルーマーレの右腕を軽く持ち上げて見せる。 『そんなにひどくはなかったよ。──それよりも行けるな、ヴァネッサ?』 先行して現場合流したブルーマーレに続いて広域防衛区域から派遣されてきた通常部隊が到着し、分断された幹線道路の先に重防衛用バリケードを構築し始める。 『──追加部隊もすぐに到着する。此処までよく戦ってくれたな──ありがとう』 獰猛な意思を湛え、ジェリーはブルーマーレの機体に突進体勢を取らせる。 『一気に押し返すぞ』 その最も古い戦友の言葉にヴァネッサは口許に淡い笑みを浮かべ、操縦把を改めて握り込んだ。 「ええ。やりましょう──」 ──まだ、生きて戦える AM09 25── * AM09 15── 【Client Kelly Altman──地下核部に不正侵入した旧世代兵器群の排撃、及び当該戦域の第二種武装制圧】 素性の定かでない不定勢力であっても、依頼に仔細ないと判断すれば受諾し業務履行は此れを全うする。一部例外はあるにせよ、基本的にはフリーランスの傭兵であるファイーナは、自らにその活動領分を課していた。 商業区画当該戦域の第六次防衛戦闘までを単機で完結した後、ファイーナは戦線確立に成功した増援部隊に継続作戦を一任、自らは戦域を離脱して現在搭乗機体のゼクトラを新たな作戦領域へ向けて疾駆させていた。 統一連邦政府駐留軍からの依頼業務はこの騒乱がエデンⅣ存続という形で無事終息した場合、当該戦域を作戦途中で離脱した事実から依頼不履行となり、発生報酬の減額はおそらく避けられない。 だがその不名誉を差し引いたとしても、第六次防衛戦闘の最中に舞い込んできた不定勢力からの緊急依頼に応えねばならない理由がアザミにはある。 状況が状況である為、不定勢力からのその緊急依頼をアザミは受諾するつもりは毛頭なかった。 ──が、その依頼ファイルの受信先、ファイル文書の文末に加えられていた古い言葉を見咎めた時、その判断はアザミの中で180度転換することとなった。 緊急依頼の送信された受信媒体はアザミが平時使用する業務アドレスではなく、かなり以前に継続使用を破棄しそのまま放置していた個人アドレスのひとつであった。それは五年前よりも以前──ミラージュ社陸軍は機械化空挺部隊に所属していた頃の専用個人アドレスであり、それを現在に至っても記録している人間は本人を除いてごく限られている。 その事実へ瞬時に行き当たった時、アザミは浅く息をついた。明らかな偽名──或いはワークネームを騙るクライアントは過去の素性を深く知る何者かであり、アザミの鋭利な直感はその存在が覆面依頼を持って自身を誘っていると悟ったのである。 そして、依頼詳細の文末に添えられた言葉を見た時、クライアントがかつて非公式のうちに抹消されたミラージュ社の五年前の致命的な汚点を知る者であり、それがかつての身内の誰かである事に気付いた時点で、アザミは当該戦域の制圧戦闘に区切りがついた時点で速やかに戦線離脱する事を逡巡なく判断していた。 添えられた言葉は、かつての帰属部隊──機械化空挺部隊【レッド・シーカーズ】が共有していた唯一無二の標語── 「ノウラの通り、唯では終われんな……」 統合司令部で陣頭指揮を執るノウラと最後に無線通信を行ったのは約90分程前だが、その時既に彼女はこの騒乱が唯では終わらないであろう事を示唆していた。 ──人類最後の庭園と謳われた絶対要塞の閉鎖型機械化都市【エデンⅣ】へその広域警戒網をすり抜け、大胆にも都市天蓋部に大穴を空けて侵入。続いて製造元が未確定である紅い亡霊の武力介入──彼女は統一政府との関連性を疑い、この騒乱終息までの間に判断材料を収集して何らかの行動を起こすつもりらしい。 その矢先に、この緊急依頼だった。もしクライアントの素性が推測通りならば、騒乱終息後の事後事態は混迷化を深めるだろうとアザミは思考を巡らす。 この騒乱の暗部は、表面的に見るより遙かに深い場所にある── 今だ明白にならない事態推移の中、アザミの豊富な経験則は常に彼女へそう伝え続けている。 その最も深く暗い部分へとクライアントは誘おうとでも言うのか、依頼場所へのルートマップも添付しておりそれの事実詳細を戦術支援AIに解析させた後、アザミは一部改変を加えたルートマップに則って作戦領域へと進行していた。 途中、商業区画他戦域で防衛戦闘に当たるAC部隊と接触したがそのまま戦域を素通りし、一直線に向かう。アザミが単機で制圧した当該戦域はまだマシな方らしく、他の戦域は思ったより戦線確立に苦戦しているらしかった。 ──それも無理はないか。都市全域から戦力をかき集めたとはいえ、大半は有象無象と変わらん エデンⅣ防衛に当たって統一連邦管理局は、都市内部に駐留するAC保有勢力の全てに依頼を投げかけた。無論、エデンⅣ最大の企業体であるグローバルコーテックスからもAC戦力が派遣されてはいる。しかし、それをしても多くはアリーナ下位ランクや予備ランカーのレイヴンであり、加えて独立勢力系の有象無象が多く参加していては、そう防衛戦闘が上手くいくはずないというのが、軽く考察したアザミの結論である。 商業区画当該戦域を抜けて移動を開始してから約15分後、アザミは隣接する工業生産区画の重隔壁施設を有視界前方に捉えた。下降する幹線道路の直線上に重厚な造りの隔壁扉が聳え、其処を基点として両区画を分断する隔壁の高度限界の先からは、赤々しい炎と黒煙が噴き上がっていた。 侵入した敵性勢力が工業設備に手を出した為に、火の手が上がったのだろう。都市天蓋部へ向けて立ち昇る災禍は単純な火災規模で片づけるには大き過ぎ、その事から工業区画が受けている被害の甚大を容易に窺い知る事が出来る。 アザミはフットペダルを強く踏み込み、正面に高く聳える重隔壁扉へ向けてゼクトラの機体をブースタ推力で進ませた。幹線道路の下り坂を弾丸の様な早さで駆け下りる最中、前方右舷の角から一機の四脚型パルヴァライザーが滑り出してゼクトラの進路上を完全に塞いだ。この後に及んでも、侵攻の手を一切緩めようとしない旧世代兵器群の徹底振りに軽く息をつく。眼球動作に追従したフレームシステムが敵性目標を捕捉、同時に左腕兵装の短機関砲を跳ね上げてバースト射撃による牽制射撃を撃ち込む。 持ち前の重装甲でその軽い弾を弾いたパルヴァライザーが背部グレネードキャノンの砲身を前方展開、その光景を冷えた視線で追いながら、戦術支援AIにオーバードブースト・システムの起動を口頭指示した。 直後、前方拡視界に捉えた敵性目標の得物の砲口が轟然と火を噴く。そのタイミングを計っていたアザミは大きく吹かしたブースタ推力で射線上から真横へ移動、操縦把上部カバーを弾き上げて中の起動スイッチを押し込んだ。 開放された背部大型ノズルから高出力の噴射炎が噴き出し、圧倒的な速度を持ってゼクトラの軽量機体を前方へ弾き出す。その感じ慣れた強いG負荷を身体に受け止めながら瞬く間にパルヴァライザーの頭上を通過、転回される前に単純距離にして百メートル近い間合いを取る。 最優先すべきは作戦戦域への速やかな到着であり、無駄な接触戦闘やそれに伴う弾薬浪費は抑えるべきである。その為、アザミはパルヴァライザーの追撃が背後から迫ってもオーバードブーストを解除せず、そのまま隔壁境界に急速接近した。 戦術支援AIの情報処理を介して隔壁制御システムへアクセスしようとした直前、何をした訳でもなく重隔壁設備が自らその扉を両側へ押し開く。そのあまりにタイミングの良すぎる事態に、右腕兵装の短機関砲を開いた隔壁扉の隙間へ向けるが、其処から何者かが飛び出してくる様子は一切ない。 狭域索敵態勢のレーダーにも動体反応は見られなかった。 残り百数十メートルに迫った所でオーバードブーストを解除、ゼクトラの機体を背後へ急速転回させる。充分な残余推力を用いて幹線道路上を滑走しつつ、背後から追撃してくるパルヴァライザーに対していつでも応対射撃を取れるよう短機関砲を突き付けながら、そのまま隔壁扉の隙間へ機体を滑り込ませた。 そしてまたもやそれを確認した隔壁設備が起動し、追い付かれる前に閉鎖を完了した隔壁扉がゼクトラとパルヴァライザーの前に完全に立ち塞がった。 警戒灯が激しく明滅する重隔壁設備内に侵入したアザミは、動体反応の見当たらない設備内を速やかに移動して大型資材運搬用の昇降機を発見すると、そこの昇降台へゼクトラの機体を搭載させる。戦術支援AIへの口頭指示を思いとどまり、しばし待っているとアザミの予測通りに、昇降機はアザミ以外の機器制御指示を受けて自動起動、警報音がひとしきり鳴り響いた後、地下への下降を開始した。 ゆっくりと昇降台が下降していく中、アザミはその奇妙なエスコートに歪んだ笑みを浮かべた。 「此方の接近は常時把握済みという訳か──」 作戦領域となる当該戦域は都市地下核部──その存在を知る者自体が限られている閉鎖空間である。 それを知っている事と先に言葉にした事実と併せてエデンⅣの内部事情にある程度詳しい事から、此処まで諸々の設備制御システムに介入するに際して、かなり手練の電子情報技術員を運用している可能性を読み取れる。 既に外部データリンクは切断してあるが、干渉工作の痕跡がないかどうかを戦術支援AIに解析処理させた結果、幸いというべきか機体制御システムに異常は発見されなかった。元より、機体制御システムには高性能の電子防衛システムが標準搭載されている為、先方が余程のハッカーでもない限り発見できないという事はない。 『想定作戦領域、約30秒で到着します──』 →Next… ⑪ コメントフォーム 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/53.html
ARMORED CORE for Answer(アーマード・コア フォーアンサー) ・プロローグ~企業連シナリオ:part38-108~111,113~115,302,303 ・ORCA旅団シナリオ:part41-208,209 ・虐殺ルート:part45-132~134 108 :ARMORED CORE for ANSWER◆Wt.9gmqyiA:2008/04/10(木) 12 50 45 ID Sdalp1aA0 戯れに書いてみたプロローグ部分。 開始時点で既にめちゃくちゃに絡み合ってる上にグダグダな状況が、 アーマードコアの話によくある救いの見えなさだなと再認識してしまった。 国家解体戦争から数十年を経た、近未来。 リンクス戦争(アーマードコア4参照)により、地上には汚染と言う名の爪痕が深く刻まれ、 空気は澱み、大地は荒れ果て、海は濁り、清浄だったはずの地表は荒廃の一途を辿っていた。 支配者たる企業はリンクス戦争後も利権争いを辞める事無く、ネクストACによるコジマ汚染を 地表へと広げ、大地を汚し尽くした。 そして、企業は遂に汚れ切った地表を見限り、新たな生活空間を空に求める。 高度7000mの高空を漂う居住プラットホーム、クレイドル。 人類の過半は未だ汚染の及ばぬ空へと移り住み、地上は資源基地と、それを巡った 企業たちの争いの舞台に成り果てていた。 ここにおいて企業たちは気付く。 リンクス戦争、国家解体戦争、その両方において戦局を大きく変えたネクストは、 たった一人の個人が運用するには余りに過ぎた力であると。 そしてその代替品とすべく、大多数の凡人によって制御される、代替容易な 巨大兵器、アームズフォート(AF)を開発した。 更にネクストを駆るリンクスを「管理機構カラード」によって統括しようと考えた。 企業社会においてのリンクス、圧倒的戦闘能力を持った個人と言う存在の企業社会への 危険性を前戦争から学んだとは言え、戦力としてネクストACは非常に魅力的である。 それと同時に、ネクストなしでネクストを相手にする事への恐怖が存在した事もあり、 各企業はリンクスの占有権を放棄し、これを共同で管理する方式を取る事にしたのであった。 しかし、この共同管理も既に絵空事に過ぎず、企業社会の平和と秩序を維持すべく作られた 「企業連」は既に政治力に優れたオーメル・グループの意向を伝えるだけの傀儡と化している。 企業専属とも言えるリンクスたちを抱え込んだ企業は、飽きる事無く争いを繰り返すばかり。 更に、その企業支配を批判する自由都市「ラインアーク」も来るもの拒まずの考えにより、 企業の支配権争いに敗れた輩が流入したことによって腐敗。 圧倒的な貧困と急激な人口増加により、掲げた理想は既に何の役にも立たず、 自らが擁する最高クラスのネクスト戦力「ホワイト・グリント」を傭兵とする事で資金を 調達すると言う状況に陥っている。 先の見えない争いが延々と続く混迷の時代。その渦中に、一人のリンクスが降り立つ。 三大企業グループの一つ、インテリオル・ユニオンにおいて最高の戦力と呼ばれた女性リンクスに 見出された彼がラインアーク襲撃の任務を請け負う所から、この物語は始まっていく。 109 :ARMORED CORE for ANSWER◆l1l6Ur354A:2008/04/10(木) 12 57 26 ID Sdalp1aA0 ああああ、トリップ完全に間違えた、済みませんです。 110 :ゲーム好き名無しさん:2008/04/10(木) 13 04 08 ID v2YLfC5PO 戯れに書いてみたってことはこれで終わり? 111 :ARMORED CORE for ANSWER◆l1l6Ur354A:2008/04/10(木) 13 09 48 ID Sdalp1aA0 再プレイしながら書き上げていくつもりです。 マルチエンディングなので三周しないと駄目なんで。 113 :ARMORED CORE for ANSWER◆l1l6Ur354A:2008/04/10(木) 23 04 06 ID Sdalp1aA0 とりあえず本格的に分岐する直前となるチャプター2、終了までを Chapter1 ラインアーク襲撃~アームズフォート スピリット・オブ・マザーウィル撃破 リンクスとしての初陣、己の試金石でもあるミッション。 ラインアークに展開する敵ノーマルACを排除し、殲滅すべく彼は動き出す。 カラードに登録した新たなリンクスの力がどの程度なのかを、企業連としても確かめたいのであろう。 とは言え、初めからラインアーク最強の防衛戦力であるホワイト・グリントにぶつけるつもりはない。 ホワイト・グリントが作戦行動中の隙を突き、守備部隊を全滅させ、攻撃的な態度を保つ ラインアークに対して脅しを掛ける。それが企業の狙いであった。 彼は見事にそれをやり遂げた。 MTとノーマル如き、圧倒的な機動力と防御力を持つネクストの相手ではない。 ある程度は使えるか、という評価を得たのだろうか、ここから傭兵としての活動が本格的に始まる。 持ち込まれる依頼は、多岐に渡る。拠点型AF撃破、施設防衛部隊排除、建造中のAF破壊。 着々と依頼をこなし、評価を上げていく「彼」の元へ、ある時、毛色の違う依頼が舞い込んできた。 三大企業の一つ、オーメルからの注目を受けるこのミッションを成功させれば、 傭兵として躍進出来るのは間違いない。 多少の危険を侵す事も覚悟の上と考えたのだろうか、彼はその依頼を躊躇いなく引き受けた。 オーメル・サイエンスからの依頼の内容、それはBFF社の主力アームズフォート、 スピリット・オブ・マザーウィルの破壊である。 全高600m、全長2700mの巨重の制圧範囲は半径100kmにも及び、その主砲はネクストに対して 致命傷を与えるに十分な威力を持つ、現存するアームズフォートでは最強の一角を担う物であった。 SoM攻略のために提案された作戦は、時速2000kmを叩き出す外付け型推進装置、VOBによる強襲。 懐に飛び込んだ後に衝撃の伝播しやすい砲台を叩き、内側から自壊させる。 遠距離での主砲、近距離での機関砲やミサイルの弾幕を掻い潜って肉薄した彼は、 狂気の産物としか思えぬほどに巨大な鉄の獣を、遂に屈服せしめた。 マザーウィルの中央構造体が内部に伝播した衝撃の負荷に耐えかね、裂けていく。 お前も一端になってきたな、と言うオペレータの賛辞を心地良く受けながら、その様を眺める彼。 企業の誰もが注目したミッションは大成功の内に終わった。 彼への評価は、変わっていく。 新参の傭兵、ノーマル程度の相手が関の山でしかないという低い評価から、 高い能力を持ったネクスト戦力であるという評価へと。 カラードも、ラインアークも、次第に彼を重要視し始めたのだ。 そして、闇に隠れた第三勢力も、また。 114 :ARMORED CORE for ANSWER◆l1l6Ur354A:2008/04/10(木) 23 05 51 ID Sdalp1aA0 Chapter2 ラインアーク攻防戦 彼の元に集う依頼は、徐々にその重要度を増していく。 管理機構カラードに所属していない、不明ネクストの撃破。 全長7kmにも及ぶ巨大AFに侵入して動力炉を破壊し、撃破する。 巨大なブレードによる体当たりを仕掛けてくる、新型AFの排除。 ラインアークの命綱とも言える電源施設、メガリスの防衛。 その全てを着実にこなす彼の評価は、上がり続けるばかりであった。 傭兵としての日々を過ごす彼の元に、転機とも思える依頼があった。 企業連とラインアークの双方から相反する依頼が飛び込んできたのである。 企業連の依頼は、ラインアーク最高の戦力であるカラードランク9、ホワイト・グリントの排除。 カラード最高ランクであるオッツダルヴァと共にこれを撃破して欲しい、というものであった。 ランク9と言えど、それは政治的な配慮ゆえであり、実際はそれよりも遥かに強力なネクストである。 戦力的には唯一の拠り所であるホワイト・グリントを失えば、ラインアークの抵抗の意思は崩れ去る。 企業連は膠着する状況に苛立ち、ラインアークに対して剥き出しの悪意をぶつけるに至ったのだ。 ラインアークより寄せられたのは、企業連のネクストを迎撃して欲しいとの依頼だった。 ホワイト・グリントという強力な切り札はあれど、本気となった企業連を相手にするには心許ない。 だからこそ、もう一枚のジョーカーを用意したい。それが貴方なのだ、と―― Chapter2-A ホワイト・グリント撃破 企業連の依頼に従い、ホワイト・グリントを排除すべくラインアークに向かった彼とオッツダルヴァ。 ホワイト・グリントのオペレータはフィオナ・イェルネフェルト。 かのリンクス戦争の英雄、アナトリアの傭兵のオペレータを努めた女性でもあった。 ホワイト・グリントのリンクスが「アナトリアの傭兵」だとすれば、苦戦は避けられない。 しかし、カラードのトップランカーとの協同であり、二対一と言う状況だ。 毒舌家であるオッツダルヴァに「お前は空気で構わんがな」等と暴言を吐かれつつも、彼はホワイト・グリントを追い詰めていく。 しかし、ホワイト・グリントの放った銃弾が急所に命中でもしたのだろうか、 オッツダルヴァの乗機であるステイシスのメインブースタが機能不全に陥った。 「メインブースタがイカれただと!狙ったか、ホワイト・グリント!よりによって水上で…… クッ、ダメだ、飛べん!……浸水だと!馬鹿な、これが私の最後と言うか!認めん、認められるか、こんな事!」 海上でのブースタの損傷により、水没していくステイシスの中でオッツダルヴァが叫ぶ。 最高クラスのネクストとの単独戦闘の危険性に、オペレータが思わず呟く。 「馬鹿な、単機でやれと言うのか……」 しかしそれまでのダメージもあってか、単機でホワイト・グリントとの戦闘を続行した彼は辛くも敵機を撃破するのであった。 115 :ARMORED CORE for ANSWER◆l1l6Ur354A:2008/04/10(木) 23 09 35 ID Sdalp1aA0 Chapter2-B ラインアーク防衛 ラインアークの依頼を受けた彼は、ホワイト・グリントと共にラインアークの警備の任に付く。 刺客の名はランク1、オッツダルヴァ。そしてランク17、フラジールを駆るCUBE。 「政治屋ども、リベルタリア気取りも今日までだな。貴様らには水底が似合いだ」 皮肉るような口調で言うオッツダルヴァ。 そして、カラードとラインアーク、双方の最高のリンクスたちによる激戦が幕を開けた。 ステイシスとホワイト・グリントは激戦の中で共に倒れ、彼に討たれたCUBEも海中に没する。 クレイドルで最も優れたリンクス達の戦いは、ただ一人…彼だけが生き残って終わる。 「これでラインアークは終わりかもしれません…」ホワイト・グリントのオペレータが呟く。 しかし、ラインアークの子飼いでない彼には、それほど関係のない話なのであった。 彼がどちらの道を選んだにせよ、大筋は変わらない。 最高のネクストたちの戦闘の渦中で、彼一人が生き残った。 その事が、彼に対する注目を更に集めさせる。 そして、ラインアークは最高の戦力を失った事で張子の虎となり、瓦解していく。 彼に目を付けた勢力は、すでにラインアークだけにとどまらない。 その中に、とある反動勢力があった。 旧レイレナードの精神を受け継ぐ逆関節ネクストを駆る、反動勢力の長。 その名を、マクシミリアン・テルミドールと言う。 Chapter2-3 幕間 テルミドールとその懐刀、メルツェルの会話 ――ホワイトグリントは戦闘不能。ステイシスは海中に没し、オッツダルヴァは生死不明、か。 やり過ぎだな、メルツェル。 ――よく言う、誰が手間を掛けさせたのか。 ――すまんな、完璧主義者なんだ。 ――…まあいい、これでやっと、最初に戻ったんだ。時期もある、クローズ・プランを開始しよう。 ――その事だが……少しだけ待てないか? ――パートナー、か。 ――ああ、強いだけの阿呆でもないようだ。試すだけの価値はあるだろう。 状況は既に手遅れだが、同時に緩慢だ。今更、焦るほどの事もあるまいよ。 302 :ARMORED CORE for ANSWER◆l1l6Ur354A:2008/04/24(木) 20 22 44 ID nUUJ8abI0 レッドリング発動したせいで遅くなってしまった とりあえず企業ルート chapter3 統治企業連合ルート ラインアークの戦闘によって名声を得た彼に寄せられる依頼は、更に多種多様になっていく。 その中に一つ、毛色の違う組織からの依頼があった。 その依頼主の名は、ORCA旅団と言う。クレイドル体制をよしとしない反動勢力だ。 クレイドルのエネルギーを賄うアルテリア施設の破壊を求めるORCA旅団の依頼。 しかし、彼がそれを請ける事はなかった。 ラインアークに引導を渡すなど、重要な依頼が増えたというのにそんなものに手を出している暇はない。 そしてアルテリア施設破壊の依頼が書類の中に埋もれ、忘れ去られた頃。 反動勢力ORCA旅団は企業連合、そしてクレイドルに住む人類たちに向けて牙を剥く。 クレイドルを賄う膨大なエネルギーを生み出すアルテリア施設に、複数のネクストによる同時奇襲攻撃を仕掛ける、と言うのだ。 その情報は信憑性には疑問が残るものの、場所が場所、クレイドルの屋台骨と言えるアルテリアである。 彼の元に、アルテリア施設防衛の依頼が来るのも無理はないといえた。 結果から言って、アルテリア施設の防衛には成功。襲撃を行ったネクストをローゼンタール社のネクスト、 ノブリス・オブリージュとともに破壊する事が出来た。 しかし、その他のアルテリア施設への襲撃は、多くはORCA旅団の勝利に終わり、 クレイドルは拠って立つエネルギー基盤を大きく揺るがされたのである。 そして、その襲撃の直後――ORCA旅団長、マクシミリアン・テルミドールの名でごく短い声明が世界に発信される。 To Nobles welcome to the earth. それは清浄な空に暮らす特権階級を、汚染された地表へ引き摺り下ろすと言う意思を込めた、痛烈な皮肉であった。 企業連合は安穏とした戦争を放り出し、狂気の反動勢力に対しての対応を余儀なくされる。 その意図が何処にあるのかは、一リンクスでしかない己には分からないがカラード所属のリンクスとして、 彼も対ORCAとの戦闘に駆り出されていく事となったのである。 chapter4 ORCA旅団の正体は依然として不明。しかし、リンクス戦争において旧レイレナードが開発した衛星破壊砲、 エーレンベルクを擁している事からその正体はレイレナードの亡霊ではないか、と考える者も幾人か存在した。 しかし、推測は推測。致命的な敗北は免れている物の、ORCA優位に進んでいる現在の戦況において、 そんなものは何の役にも立ちはしない。 そんな中、ORCA旅団の本隊が旧グローバル・アーマメンツ本社、BIGBOXに集結しているとの報が入った。 カラードはこれにランク3、ウィン・D・ファンションが駆るレイテルパラッシュを差し向ける。 彼もそのパートナーとして随行する事となった。企業は、ORCAの息の根をこれで止めるつもりでいた。 BIGBOXにおいての決戦でORCA旅団の参報的役割を果たしていたメルツェルは倒れる。 最後に残したのは、「最早私も無用」、そして「人類に、黄金の時代を」という言葉。 マクシミリアンの姿は――ない。メルツェルを囮に、彼は企業との密約を結んでいたのだ。 企業はORCAを黙認する。そして、ORCAは企業首脳の生命を安堵し、彼らの過去を秘匿する。 ORCAは打算家たちの性質を知悉していたのである。自らが安全ならば、全てを賭ける必要はない。 破壊からの復興は新たな富を生み出す土壌、経済成長の礎となるのだから。 この密約により企業、そしてカラードはORCAへの不干渉を貫く構えとなっていた。 ORCAの前に立ち塞がる者は、最早存在しなかった。 クレイドルで眠る無辜の人々を犠牲とする事を拒んだウィン・D・ファンションと、 そのパートナーである彼を除いて。 303 :ARMORED CORE for ANSWER◆l1l6Ur354A:2008/04/24(木) 20 25 45 ID nUUJ8abI0 Last mission アルテリア・クラニアム防衛 世界最大のアルテリア、クラニアムを失えば、クレイドルは地上に落ちる。 多くの弱い人々は、汚染された地上に生きられない。 それを知ってORCAを黙認する企業に従う事を、ウィン・Dの矜持は許さなかった。 そして、ビッグボックスにおいて共に戦った彼に協力を求めた。個人として。 彼もまた、それを受け入れる。クラニアムを襲撃するORCAのリンクスを始末し、クレイドルを守るために。 クラニアム中枢へ向かう最中、ウィン・Dが言葉を漏らす。 「貴方には、感謝している。嬉しかったよ」、と。ただ一人で立ち向かう事も、覚悟していたのだろう。 しかし、賛同する者がいた。それが嬉しかったのだ、と。言葉を飾らないウィン・Dらしい言葉だ。 直後、彼らはクラニアム中枢へとたどり着く。 待ち受けていたのはマクシミリアン・テルミドール――ORCA旅団の長であった。 「お前たち、やはり、腐っては生きられぬか」 己の命を守るために罪なき人々を見捨てる企業とは違い、立ち向かってくるリンクスにテルミドールが呟いた。 戦いは、結果的にウィン・Dとパートナーの勝利に終わった。 「心しておけ、お前たちの惰弱な発想が、人類を壊死させるのだと…」 クラニアムはコジマ粒子をエネルギー源としている。このままクレイドルが飛び続ければ、徐々に汚染は清浄な空をも侵す。 「人類」を生かすために、多くの弱い人々を犠牲にする。それがテルミドールの考え。 「人類など、どこにもいないさ……オッツダルヴァ」 死の間際にいるであろうテルミドール=オッツダルヴァに向け、ウィン・Dがそう言葉を返した。 個を切り捨てられないウィン・Dにとっては、個人の生命を踏みにじるORCAは受け入れ難かったのだろう。 無干渉を貫いた企業は、ORCAを討ち果たした二人のリンクスに煌びやかな賛辞で報いると、 その残滓を追い立て、統治者の威厳を知らしめていく。 「尊い平和は守られた」。彼らは、そう宣言した。 クレイドルは、今も悠然と空を飛び続けている。全てを忘れられる、幸せな人々を乗せて。 これが企業連ルート、後二つもその内に 208 :ACfA◇l1l6Ur354A:2008/09/05(金) 04 47 37 ID jO/GSoFe0 ARMORED CORE for Answerの企業編のみだったのでORCA編 途中までは企業編とほぼ一緒 分かれ目はホワイトグリントとの戦闘後にORCAからの依頼を受けること 依頼の内容は主要アルテリア施設である、アルテリア・ウルナの破壊であった。 人類の過半が住まうクレイドルであるが、 そのよって立つエネルギー基盤であるアルテリア施設が破壊させることは現世界の崩壊を意味する。 当然のことながらORCAに与するということは、世界をそれを支配する企業国家を相手にするということである。 主人公はウルナの破壊に成功しORCAと行動を共にすることとなる。 ORCAのメンバーはカラードにいたもの等も含めて様々であるが、中心に存在するのはリンクス戦争当時のリンクス。 その中でも特筆すべきなのが旧レイレナード所属の人間達であり、まさにレイレナードの亡霊である。 国家解体戦争以前、国家間の争いの激化の果てに致命的な兵器アサルトセルが開発された。 それは、地球と宇宙空間を閉ざす、無差別に攻撃を仕掛ける自立飛行兵器であった。 (実際にミッション内で攻撃を受けることが出来るがダメージ0 色々と突っ込みどころの設定であるが突っ込まないように) その結果、地球は閉ざされ宇宙への開拓は無くなった。テルミドールは言う。「それが我等の咎」だと そして、再び人類の宇宙開拓を目指したのがレイレナードの提唱したクローズプランであり、現ORCAの存在理由である。 ORCA旅団はクローズプランを開始する。主要アルテリア施設の同時強襲である。 主人公はアルテリア・カーパルス襲撃を行うこととなる。 結果としてそのほとんどは成功し、クレイドルはそのよって立つエネルギー基盤を失うこととなり、 人々はそのおぼつかない足元にはじめて気づいたかのように恐怖するのであった。 209 :ACfA◇l1l6Ur354A:2008/09/05(金) 04 48 23 ID jO/GSoFe0 物語は終盤へと突入する。 ORCA旅団にとって作戦の最重要施設である衛星掃射砲が企業連側に攻撃を受けるのである。 この衛星掃射砲を使用しアサルトセルを殲滅することで初めて宇宙開拓への一歩となる。 (前作で登場したエーレンベルク砲であるが、この小型衛星掃射砲三門がレイレナードのものであるか 全てオーメルの思惑通りなのかはいまいち理解にかける。保管してくれると助かる) 主人公はガチリンとともに敵ネクスト級2体とAF級1体を撃滅し衛星掃射砲守備に成功する。 企業連は最終的な切り札として最強のAF、アンサラーを実戦配備する。 全身コジマ兵器の巨大な塊で信じられないことに浮遊型である。その影響は凄まじいもので 大地には致命的なコジマ汚染を撒き散らし、ゲーム機本体にはフリーズを連発させユーザーを悪夢のどん底えと追いやった。 それも撃破し、もはやORCAに敵は無くなり、最後のミッション、アルテリア・クラニアム襲撃へと物語りは進む クラニアムには企業連とは独自に動いていたレイテルパラッシュとマイブリスのネクスト級2体が待ち構えている。 これは企業連ルートの主人公がマイブリスになったと考えればよい。 ここで驚くべきはハードにおいてテルミドール=オッツダルヴァが企業連側として主人公と敵対することである。 このことについてはもはや脳内保管するしか方法の無い状態である。 これまでのシリーズを考えればテルミドールは元々企業側の人間でイレギュラーな主人公を狩ることが目的だったのであろうか ともかく主人公は全てのネクストを粉砕しアルテリアのエネルギーを使用することで衛星掃射砲のエネルギーを確保し 人類の宇宙開拓への道を回復させることでクローズプランを成功させる。 これでORCA編完 疑問としてはやはりオーメルサイエンステクノロジーの暗躍である。 それにしても想像の範囲を超えないわけではあるがそのあたりは脳内保管することで良しとして欲しい それがシリーズを通して、ゲームの完成なのだから... 132 :ACfA:2009/04/05(日) 01 47 29 ID UtDk4K0s0 虐殺ルート ストーリー分岐は共通からORCAルートに分岐直後 ORCA旅団による全面攻勢が開始された直後、カーパルスより帰還した「首輪付きのリンクス」に一通の依頼文が届く。 依頼主はORCAのメンバーにして、『最も過激な反企業集団』として知られる武装勢力リリアナのリーダーでもあるオールドキング。 依頼内容は、クレイドル03の破壊。 クレイドル03は五機の「クレイドル」によって構成され、その総人口は一億を超える。これを全て破壊するというのだ。 ORCAのやり方を手ぬるいと批判する彼は、リンクスに語りかける。 ――革命など、結局は殺すしかないのさ。だろう? そして彼はオールドキングと共に03へ向かう。破壊と殺戮のために。 クレイドル03から帰還後も、彼はオールドキングと行動を共にする。 オペレーターであり師でもある「彼女」も、人類のために汚名を被り、クレイドルを止めようとしたORCAも、 クレイドル自体を――その住民ごと――攻撃するような彼らを見捨ててしまったからだ。 その二人に、三大企業グループの一つ、インテリオル・ユニオンから依頼が舞い込む。 依頼内容は三大企業の残る二つ、GAとオーメルに再奪取されたアルテリア・カーパルスの占拠。 敵戦力の情報無し。ミッションプラン無し。そしてそれを詫びるかのような高額な報酬と、 「このミッションは、人々の安全と世界の安定の要なのです」と語るインテリオルオペレーターに送り出され、二人はカーパルスを目指す。 133 :ACfA:2009/04/05(日) 01 51 14 ID UtDk4K0s0 アルテリア・カーパルスには――予想通りの光景が待っていた。 カラードランク4。ローディのフィードバック カラードランク3。ウィン・D・ファンションのレイテルパラッシュ カラードランク2。リリウム・ウォルコットのアンビエント カラードランク1。オッツダルヴァ/マクシミリアン・テルミドールのステイシス ネクストに対して最も有効な戦力は「より強力なネクスト」。企業連は保有する最強戦力をもって二人を倒そうというのだ。 決戦の直前、クレイドル撃墜に怒りを表す傭兵達に、オールドキングは嗤いながら答える。 ――選んで殺すのが、そんなに上等かね? そして戦いが始まる。 現存する最強のリンクス達の戦いは、五人の死者と一人の勝者を残して終る。 相棒であるオールドキングすら失った彼は、たった一人、カーパルスを後にした。 「この後、たった一人のリンクスにより、クレイドルは深刻な出血を強いられる」 「人類種の天敵とすら呼ばれた彼は、史上最も多くの人命を奪った個人でもある」 134 :ACfA:2009/04/05(日) 01 57 20 ID UtDk4K0s0 以上で「虐殺ルート」「人類種の天敵ルート」と呼ばれるシナリオは終了 中途半端な終わりに見えるかもしれないが、「この後~」のナレーションが言われた後、 エンディングムービー無しにスタッフロールへ直行。本当にこれだけで終る それとORCAルートのエンディングだが、重要なところが無い気がするのでそこのエンディングのナレーションの最後を置いておきます 今回はエンディングで、しっかりと後日談を語っていたと思う 「人類は、その数を大きく減らしながら、宇宙というフロンティアを手に入れる」 「正のエネルギー。成長と野心と、新しい戦争の時代だ」
https://w.atwiki.jp/achdh/pages/160.html
⑪*⑫*⑬ 理論的には実現可能だとその技術概念のみが、かの財団存続時に提唱されていた、とノウラがいつか言っていた。そして、こうも。 ──そんなモノが実用化されれば、現存する地上兵器は全て無意味になるだろうな プライマルアーマー機能──軍事転用されたコジマ粒子の新たな可能性の形── 一瞬の空白だった。その間に、その白緑色の膜に守られていたネクスト機のカメラアイに一際強い光源色が宿り──アザミはその空白を掴み損ねた。 弾き上げられた二挺突撃ライフルの砲口が至近距離で煌き、致命的な反転攻撃をゼクトラは被った。 間断なく浴びせ掛けられる弾幕が機体各部を吹き飛ばし、ブースタ逆噴射による緊急後退の最中に左脚部関節部を撃ち抜かれたゼクトラが機体を傾しがせ、その場に片膝をついた。その間にも飛来する弾雨が外部装甲を切り裂き、ゼクトラの頭部と左腕部を破壊、短機関砲の銃身が被弾して誘爆する。コア胸部にも同様の弾幕が押し寄せ、その衝撃でコクピットが大きく揺さ振られる。破損した機器群が火花を上げながら弾け、そのうちのひとつがアザミの側頭部を強打した。 ──弾幕が止んだのは、どれくらい後だったか。頭部を強打しながらも意識を気丈に保っていたアザミは、コンソールに手を伸ばした。辛うじて機能している戦術支援AIに機体状況を解析させる。 機体損耗率89%、第一戦闘態勢の継続維持は此れを不能── ノイズの走るカメラアイを前方へ向けると、其処には変わらずほぼ無傷で佇むネクスト機体の姿があった。 落下し切った子弾群による残り火が周囲に散在して設備空間内を照らし出し、さながら此処は地獄の果ての底のようだとアザミは思い、口許に諦観の笑みを浮かべた。 通信要請が入り、戦術支援AIに口頭指示して回線を繋ぐ。 しかし、互いに何らかの言葉を投げかける事はなく僅かな静謐の後、通信要請を行ってきた当の敵性目標が機体を転回させた。機体が向く方向には、一本の連絡通路の入口がある。 そこでようやく、アンヘルが言葉を寄こしてきた。 『再び戦火を交える事としよう、友よ──』 「──随分な矛盾だな。私を、殺しに来たんだろう?」 『我々"残り火"は、何れも共存を望んでいない……。お前はどうだ──』 「──構うなよ。私はどうだって良いんだ、あんな事はな……」 『だが、"残り火"の最後が潰えるまで我々は、誰も彼もを追い続けるだろう……』 若干の沈黙が降り、その後、 『──死ぬなよ、ファイーナ』 その言葉を最後に、アンヘルは自ら通信体制を解除した。 最後のその言葉──アザミは得心した。やはり私達は、最早決別した者同士だという事をアンヘルは伝えたのだ。この場は去るにしても、アンヘルの私闘の末にアザミを殺すのは、自身以外にないのだと。 そう静かに受け入れた時だった。 設備空間の内壁が外部から不意の轟音と共に吹き飛び、膨大な量の粉塵がその場所を中心に舞い上がる。聞き慣れない駆動音と共に一機の機動兵器が噴煙を突き破って姿を現した。 カメラアイを傾けてその機影を視認し、アザミは頭のどこかに残っていた記憶を揺り起こしてその機体と照合する。 ──実働試験機体、ガロか? そう見当たりをつけた時、今しがた介入してきた機体から通信要請が新たに入った。 『此方【マルシア】、ガロだ──。大丈夫か、アザミ──』 既にこの戦域を去ろうとしていたアンヘルがネクスト機の頭部のみを動かし、実働試験機であるマルシアの姿を捉える。当該戦域の現状を見ればガロでなくとも大体の察しはつく。事実、ガロは一言も言葉を発する事なく不意に実働試験機の搭載兵装を跳ね上げ、アンヘルに向けて搭載兵装群のひとつである多砲身式機関砲を唸らせた。 その突発的な攻撃をアンヘルの搭乗するネクスト機体は、瞬間的にブースタ機構を吹かして回避し、同時に機体転回を済ませると最大推力で連絡通路へ瞬く間に離脱していった。 ガロが巨躯を備えた実働試験機を追撃に向かわせようとしているのをアザミは察知し、彼に静かに、しかし強く諭す。 「──追うな、ガロ」 そう言うと、ガロは実働試験機の後方ノズルから吐き出していた噴射炎を止ませた。持ち上げている搭載兵装は連絡通路に突き付けたまま、通信回線を通じて言葉を投げかけてくる。 『あの機動──まさかネクスト機か? よく生きていたものだな』 「すこし、火遊びをしていただけさ──」 そう言い、アザミはゼクトラの半壊したカメラアイをアンヘルの去って行った連絡通路に向けた。回線の向こうでガロが救援部隊の派遣を社に要請したという報告を耳に入れながら、連絡通路の奥の闇を注視する。 ──"グレイエンバー"の残り火は、誰も彼もを追い続ける 「──その為に戻ったのか、アンヘル……」 AM09 37── * AM09 34── 自分が何処を眺めているのか、最早そんな事もはっきりと感じられない ただ極限にまで削り落された意識の中、不要な感情を一切排した獣の様な闘争心だけが、相手を睨み付けている。 第一種戦闘態勢による過度の接続負荷は、実働試験型ネクスト機体【マルシア】の搭乗者であるガロに深刻な意識弊害を齎し、機体自体の継戦能力の有無に関係なく彼自身の身体が悲鳴を上げていた。 ──最初のAMS接続時の負荷を乗り切ったとして、持てる時間は二分足らず。 第一種戦闘態勢移行からの時間推移は既に二分に迫っている。しかし、ガロはそれでも一切止まろうとしていなかった。弊害である接続負荷によって剥き出しになった根源的な攻撃衝動である闘争心が、ガロ自身の正常な意識を蝕み、接続解除という緊急手段を思い出させない。 鼻腔の血管が破れて溢れだす流血にも構わず、ガロは操縦把を握り締め続ける。 有視界内の宙空を無尽に飛び回って回避機動を取り続ける敵性動体──ファントムヘイズを捕捉し、左腕部適合搭載兵装の35ミリ多砲身式回転機関砲を唸らせる。 その圧倒的な弾幕射撃をファントムヘイズは奇跡的な回避機動で搔い潜るが、ガロの灼熱した意識は既に次の戦術展開へ向いていた。 過度の接続負荷による激痛と悲鳴とも取れない呻きを抑え、既にまともに介在していない意思判断──本脳とも言える其れを汲み取った統合制御体が、マルシアの機体にその情報を反映する。 レールシステム式適合兵装の搭載火力を複数同時展開、主兵装である多砲身式機関砲の弾幕射撃の最中、そこへ更にグレネードライフルと軽装型地対空ミサイルによる追加攻撃を放つ。 圧倒的と呼んで相違ない火力がファントムヘイズの全方位から強襲を仕掛け、ついに追いつかなくなった応対射撃の隙間から射出榴弾が侵入した。ファントムヘイズの外部装甲を着弾した榴弾の爆発が吹き飛ばし、其処へ更に複数の射出榴弾が喰らい付く。 度重なる致命的な攻撃に対して機体制御を崩すも、ファントムヘイズは攻撃態勢を崩さず右腕部に携えたスナイパーライフルを最大限に活用して後続から迫る地対空ミサイルを撃墜。 近接信管式の榴弾が自動炸裂して火球の壁を作り、ガロは宙空へ向けてマルシアを突進させた。 マルシアの外部装甲はあらゆる実弾兵器をも無力化すべく堅牢に作られ、それは通常の機動兵器ならば移動能力に致命的な欠陥を及ぼすものである。 しかし、マルシアに搭載された大型ブースタ機構はそのリスクなどものともしない機動力を齎す。事実、マルシアの機体は背部ノズルから吐き出された噴射炎によって強引に浮上、時速1000キロオーバーの強化推力によってファントムヘイズとの間合いを一瞬で詰み切った。 自ら火球の壁を突き破ってその先のファントムヘイズと肉薄、レールシステム式適合兵装から大きく突出した砲身を持つ主兵装の方向を頭部へ突き付ける。 圧倒的火力の弾幕が頭部を撃ち砕くかと思われたが、ファントムヘイズはサイドブースタを最大推力で吹かし満身創痍の機体をマルシアの後方右舷へ弾き出した。 即座に機体を転回、後退を試みるファントムヘイズへ貼り付くように追従する。同じプロトタイプネクストとはいえ製造元が異なった結果が此処に如実に表れていた。彼我の差とも言える機動力によって、ファントムヘイズが応対射撃を取るよりも遥かに早くガロは意思判断した。右腕部適合兵装のレーザーブレードから高出力の刀身を発現させ、それをファントムヘイズの機体右舷に向けて斬り払った。 蒸発も同然に機体右舷の外部装甲と右腕部を失ったファントムヘイズが不意にオーバードブーストシステムを起動。追撃すべく統合制御体に語りかけようとした時、ガロは自身の口許から赤黒い液体が流れ出たことに気付いた。それに伴って機体制御態勢が急激に不安定化、統合制御体が負荷数値の急激な上昇を伝える。 マルシアの機体を辛うじて地上へ降下させ、オーバードブーストによって連絡通路付近まで間合いと取ったファントムヘイズの機影を有視界に捉える。 投射型メインディスプレイに出力のデジタルウォッチは02;45を指している。 ──限界か 負荷数値は身体機能の耐久限界に達し、此れ以上の第一種戦闘態勢の継続維持は自身の生命に深刻な影響を与える事を統合制御体が報告してくる。 灼熱する意識と赤く染まった有視界の中、ファントムヘイズが不意に戦闘機動を停止したマルシアを見咎める。そして一時が過ぎ、中破と呼ぶには深刻な損害を被ったファントムヘイズは後方ノズルから噴射炎を吐き出して戦域から離脱していった。 統合制御体に強く意識して語りかけ、第一種戦闘態勢を解除、機体制御態勢を第三種広域警戒態勢へ固定維持する。灼熱していた意識が急速に冷めていき、それに伴って麻痺していた全身の痛覚が覚醒し始め、ガロはその覚えのある痛みに若干眉を顰めた。 「互いに生きた、か──」 ファントムヘイズの去った深遠の闇を見つめ、ガロはいつか昔の誰かを脳裏に思い出していた。 戦場の果てに残った末、最後に生きる場所を違えた誰か── ファントムヘイズと自身、どちらがどちらの影かは分らない。 だが、彼は間違いなく立つ場所を違えた己と、ガロは強く意識できた。 たかが数時間とはいえ高密度に続いた戦闘の中でぼろぼろになった心身を見咎め、ガロは浅い息をつく。 この騒乱が残すであろう禍根の可能性に思考を巡らそうとした時、第三種広域索敵態勢のレーダーが近隣区域に二機の動体反応を捕捉。搭載センサー群が解析捕捉したその内の一機は、連邦管理局から依頼を受けて出撃したターミナルスフィア戦力の一人であるアザミの搭乗機体だった。 動体反応の挙動と搭載センサー群が収集する戦域情報から、どうやら二機の動体反応は交戦状態にあるらしいと予測できた。 その戦域情報ではかなり苛烈な交戦が展開されているようであり、ガロは一時、とはいっても数秒足らずだが思案を巡らし、その戦域への武力介入を迅速に判断した。 過度の接続負荷によりAMS接続に必要な脳機能を消耗してはいるが、第一種戦闘態勢より一段階下の戦闘態勢を適宜維持すれば何とか継戦行為は可能だった。 統合制御体のシミュレーションシステムも、第二種戦闘態勢での継戦闘行為は34%で随時可能という結果が出力されている。 直線距離で介入戦域へ急行すれば、所要時間は一分もない。 ガロは速やかに機体制御態勢を第二種戦闘態勢へ移行、再び脳部にかかった鉛の様に重い接続負荷を無視して統合制御体に語りかける。左腕部適合兵装を介入戦域直線上の内壁へ突き付け、其処へ向けて総火力を撃ち込んだ。やがて崩落した内壁の向こうに連絡通路の空洞が出現、其処へマルシアの機体を突進させた。 AM09 36── * AM09 25── 興行区画、商業区画隔壁付近── 一度食いついたら、死なない程度に死ぬ気で食らいつけ── 生前、深酒に酔った父が一人娘との酒の席で言った一言だが、ノエラは十四年前に聞かされたその言葉を今でも鮮明に覚えていた。 その席の三年後、彼女の父はある戦場へ取材に赴いた際に戦闘中行方不明となり、十年以上が経過した現在でもその遺骨は発見されていない。 家庭を顧みずに戦場へふらふらと出かけていった彼を周囲の親族は、侮蔑の入り混じった眼でいつも冷ややかに見ていた。しかし、ノエラにとっての父の記憶はそれ程悪いものではなかったし、取材活動から我が家に帰ってきた時には、彼は父としての役目をしっかりと果たしていたと憶えている。 そんなノエラが三年前にグローバルコーテックス隷下の民放局付きジャーナリストになった時、一部の親族は彼女が十年以上も前に死んだ父の後を継いでしまったのだと、大層嘆いた。 形式上は継いだといっても言い返せないが、別に継ぐ程の意志が父に在った訳ではなかったし、気付いたらその道を歩んでいたという程度のものでしかない。しかし、老年を迎えた母は彼女のその選択を祝福し、彼女が父によく似ていると言った。 ああ、やはり私はれっきとした父の娘だったのだと、ノエラはその時にようやくその事実を誇りに思う事ができた。 グローバルコーテックスの本社機能が収容されている閉鎖型機械化都市【エデンⅠ】から【エデンⅣ】に派遣されてきて以来だから、【エデンⅣ】の生家に暮らす母と姉弟達とは二年以上顔を合わせていない。最後に此方の消息を伝える手紙を送ったのも一年近く前の為、そろそろ実家の方は自分が死んだと思っているのではないかと、ノエラはそう考えて口許の淡い笑みを浮かべた。 ──今度、一度帰ってみてもいいかな 「ベランジェ、あそこよ。二六階の駐車スペースなら、さっきのストリート方面を観れるわ!」 その指示に運転席でハンドルを握るベランジェが了解、と短く応え、路上に放置された大量の自動車の隙間を縫った先の十八階インターチェンジから産業ビル内部へとジープを小気味よく滑り込ませた。 蛍光灯の瞬く駐車場内部を路面の地上標識に従って抜け、上階層へ直結する螺旋通路をベランジェの操る軍用ジープが猛速度で駆け上がっていく。休日の趣味は専らドライブとだけあって彼の運転技力は同僚達の中でも優れており、だからこそノエラは相棒である彼の隣に安心して腰を下ろすことが出来ている。 最も、興行区画のアリーナ施設から此処までたどり着く中、ベランジェは幾度か断末魔のような絶叫を上げては歩道に乗り上げたり高速で蛇行運転をかますなどしてくれたが。 同僚とはいえ、ベランジェとは局内での配属部署内での役割が正確には異なる。彼はグローバルコーテックスが主催するアリーナプログラムの取材活動が中心の内事報道課であり、ノエラは外部、主に武装地帯での取材活動をする外事報道課である。ベランジェは戦場の一線での取材経験が圧倒的に不足しているため、今回のように突発的に起こった騒乱に対して冷静な対応が遅れているのも無理はないと、ノエラは理解していた。 しかし、派遣日程の遅延からアリーナプログラムの取材班に合流したが故に、この騒乱の現状の仲でベランジェを足として使えたことはノエラにとってかなりの幸運と言えた。 やがて二十六階の階層表示板の下を通り過ぎ、ベランジェがハンドルを小気味よく切ってインターチェンジ出口へとジープを向かわせる。不規則に明滅する蛍光灯が照らし出すガラ空きの駐車スペースを縦断し、産業ビル外部へせり出た駐車スペースの縁へベランジェはジープを停車させた。 ドアの上を身軽に飛び越え、首元で揺れる双眼鏡を手で抑えながら外部駐車スペースの欄干部へ走り寄る。携行用ハンドカメラを起動したベランジェが隣に追いつき、欄干の向こうで一望できる景色にレンズを向けた。 焦げ臭い臭気が鼻腔を突き、しかしその極めて嗅ぎ慣れた臭いを無視して区境界のメインストリートの方へ視線を向ける。密集して林立する産業ビル群の各地から黒煙と炎が吹き上がり、地上と上空の相方でとめどなく火線が行き交う光景を目にし、ノエラは口にこそ出さなかったが厳しい表情を顔に浮かべた。 その致命的な惨禍の中、視線を向けていたメインストリート方面から一筋の閃光が閃く。 「あそこだわ、ベランジェ!」 ノエラの指差した方向へベランジェが追従する。ノエラも其処で首に提げた双眼鏡に眼を押し付け、閃光の疾った方向へ望遠レンズの倍率を急いで合わせる。 そして再び、恐ろしく強い光量を伴った青白い閃光が産業ビルの影に旨い具合に隠れたストリートから走る。やがて産業ビル群の高層構造体が途切れ、そこで漸くノエラは双眼鏡を介して臨む視界の中に、目的となる彼らを目視した。 「アレは、ブリューナグ……!」 メインストリートである幹線道路上で一進一退の攻防戦を展開している二機のAC機体の一方を見咎め、機体の構造的特徴から白いそのAC機体がグローバルコーテックス帰属のランカーAC【ブリューナグ】であるとすぐに気づく。内事報道課でないとはいえ、グローバルコーテックス帰属のレイヴンについては予備ランカーまでその詳細を全て頭に叩き込んである。 隣のベランジェも早々に気付いていたらしく、しかし彼の視線はブリューナグが交戦中の機体──ACと思われる赤い機体に向いていた。 「あの赤いの──。あの動き、ACじゃ在り得ないぞ!」 ベランジェのその言葉に改めて気づくまでもなく、ノエラもまたブリューナグが相手にしているAC機体を目にして、自分の目を半ば疑っていた。 「──ナインボールは、普通のACじゃないというの……」 ノエラはその赤い機体の名を独白のように呟く。アリーナ施設から脱出してしばらく興行区画の戦況取材に回っていた時、ちょうど走行中だった幹線道路下層部を疾走していたその赤い機体を目撃していた。ノエラはそれを見て、ベランジェに後を追跡するよう指示したのだ。 自身がナインボールと呼んだ赤い機体がグローバルコーテックスの所属でないのは無論、今回エデンⅣの防衛戦闘に当たっているAC部隊の中にも含まれていないことを、ノエラは分かっていた。 自身で直接眼にしたのは今回が初めてだが、ノエラは以前にもその赤い機体を見たことがあった。 その赤い機体──ナインボールはコーテックスランカーのブリューナグと同等か、それ以上の勢いで攻勢を展開している。ブリューナグが片腕に携える光学兵器の閃光を悉く回避するその機動力は圧倒的という他なく、その機体性能は従来のAC兵器に備わっている性能規格を大きく凌駕している事に疑いようがない。 凌駕──恐らくそんな程度の温いものではない。 機体構造こそ従来の部品から構成されているように見えるが、機体展開能力は明らかにAC兵器のそれではなかった。次元が違う──それでも双眼鏡の先の視界の中で、ブリューナグは神憑りともいえる戦闘機動を展開し続けている。 ノエラの呟きに対し、ハンドカメラを覗き込む視線を維持したままベランジェが問う。 「何か知ってるのか、ノエラ……?」 「少し前、レイヴンズアークの知り合いから聞いたのよ。──あの機体、ナインボールの事を」 改めてその赤いACの名を口にしたのみで、それ以上の背景事実を彼に伝える事をノエラは躊躇い、結果的に言葉を紡ぐ事はしなかった。 ──ナインボール。 業界内でグローバルコーテックス社と熾烈な権益競争を展開する大手傭兵仲介企業【レイヴンズアーク】に、ノエラは至極個人的な人脈を持っていた。そう遠くない以前、レイヴンズアークへ業務交渉会議の取材活動へ出向した際、ノエラは人脈の一人である知己と会い──ナインボールと称されるモノについて聞き及んだ。 統一連邦軍事力の中、上位機構である統一政府が保有する完全に独立した軍事力。 発足から一世紀が経過しその歴史の中で形骸化を重ねながらも、なお世界統治機構としての存在性を謳う統一連邦政府の切り札。 ノエラもおいそれと口にする事はかなり憚られたが、彼女はそこで漸く自身の父が最後の取材活動で残した遺品である写真の中にいた一つのAC機体が、ナインボールという名である事を知ることができた。 「ベランジェ……。私達、ヤバいもん撮っちゃったかもしれないわよ……」 かの機体は公に知られてはならない存在だと、アークの知己は口を酸っぱくして言っていた。軍事方面でこそ、ナインボールという統一政府の兵器は圧倒的な抑止力である脅威として広く、それでも非公式に知られるにとどめられている。 難しい考え方をしなくても、自身達が今眼にしている光景がどういう価値を持っているのか、ノエラには背筋を冷や汗が流れるほど分かっていた。 本来ならば撮影記録を抹消、撮影機材も何もかも全ての痕跡を消しさるべきである。 ──だが、ノエラには簡単にそう出来ない理由があった。 消息不明になった父の遺した写真がそれである。写真自体は彼の死後暫くして生家に届いたものであり、写真の裏には父が消息不明になる数日前の日付が書き記されていた。 親族は誰もが、父は何れそうなる人間だったと、口を揃えて言った。 一人娘のノエラは、父が最後に送り付けてきたその写真に何の意味が込められているのか、知りたかった。だから遺品として共に埋葬されるはずだったその写真だけを密かに抜き出し、自身の手元に置き続けてきたのである。 父が今も生きているかもしれないなどという下手な願望はない。しかし、消息不明となった末の彼の軌跡をその一枚の写真からいつか辿れるのではないか、そうノエラは長年思い続けてきたのである。 ──世界秩序を乱す危険因子を粛清する存在・ナインボール。その存在は公には知られてはならず、それを過度に知った者は同様に排除される──。 ノエラは心のどこかで、その世界秩序の暗部に父の軌跡があるのだと確信している。 一枚の写真と都市伝説じみた存在でしかなかったその存在が今、ノエラの眼前に姿をさらし、そして敵対するAC機──ブリューナグを追い立てている。 ブリューナグが片腕に構える光学兵器を斉射するも、そのいずれもが赤いAC──ナインボールへの決定打には直結せず、ついに間合いを詰めたナインボールがブリューナグの後背部へと滑り込んだ。 三年と少しとはいえ既にいくつかの大きな戦場での取材活動を経験してきていたノエラにとって被写体の死は珍しいものではない。それでも同じグローバルコーテックスの人間として、次に予想された最悪の結末に目を見開いた時だった。 上空でグレネードキャノンを展開していたナインボールの後背を、地上から駆け上がった一筋の青い火線が襲う。後背部のブースタ機構を撃ち抜かれたらしいナインボールが機体姿勢を崩して急速に降下していく。 地上のメインストリートへ双眼鏡を向けると、若干離れた場所に三つ足で立つ四脚型ACの姿があった。どうやらあの機体がブリューナグの窮地を寸での所で救ったらしい。 「あの機体、コーテックスの【黄龍】だぞ、ノエラ」 ベランジェが口にした【黄龍】というのが今ブリューナグを救った四脚型ACの機体コードである。彼の注釈じみた独り言の後に思い出したが【黄龍】を駆るレイヴンのメイファも、コーテックスアリーナで名を知られるトップクラスランカーの一人である。 ブリューナグがレーザーライフルから三発の青白い閃光を、ナインボールの落下に合わせて撃ち放つ。有効な回避機動も取れず容易くその攻撃を受け、内最後の一発がナインボールの膝関節を捉えた。 二機のトップクラスランカーによる瞬間的な連携により、着地と共にナインボールが路上へ膝関節を崩す。 「すげえ──」 ベランジェが感嘆の声を漏らしそれに胸中で同調し、双眼鏡の向こうに望むメインストリート上でブリューナグが各座したナインボールに光学兵器の砲口を突き付ける。 苛烈な戦闘の終幕が目の前に訪れるかに思われた刹那、欄干から身を乗り出していたノエラとベランジェの頭上に覆い被さる大きな影が現れた。 首を回すよりも前に背後から奇怪な動作音が聞こえ、ノエラはベランジェの身体を自身ごと横合いへ突き飛ばした。華奢な体つきとはいえ大人一人分の体重を受け止めたベランジェが、「うえっ」と何か胃の内容物でも吐くようなうめき声をあげる。ノエラは一足先に素早く立ち上がり、今しがた自身の居た場所に現れた驚異を目の当たりにした。 「嗅ぎ付けられたっ……?」 青白い眼光を宿した四つ足の旧世代兵器──対白兵戦用のパルヴァライザーが立ちふさがる。大型の機動兵器ではなくあくまで蹂躙用に調整されたその機体は、マニピュレーター式腕部に多砲身式回転機関砲を持ち、その砲口を此方へ突きつけるべく、奇怪な動きで脚部を転回する。 カメラアイに捕捉される前に急いでベランジェを引き摺りあげ、彼の背中を押してキーを差しっぱなしのジープへ走らせる。 「早く走って、逃げるわよ!」 自身が踏みつけたおかげで咳き込むベランジェを強引に急きたてた時、彼はあろうことか右手に持っていたハンドカメラをその場に取り落した。即座に踵を返そうとしたが同時にパルヴァライザーのカメラアイと視線がぶつかり、ノエラは慌ててジープへ向かった。 ベルトを装着するのも惜しかったベランジェがアクセルペダルを踏み込み、発進寸前のジープへ文字通り飛び込む。弾丸の如く弾きだされたジープの後に、パルヴァライザーの放った本物の弾丸が撃ち込まれた。 続く機銃掃射がインターチェンジへ向けて発進したジープを追撃し、追いついた数発がジープの外殻に弾痕を穿った。被弾の衝撃に車体が震動した直後、不意にパルヴァライザーの機体が強い電流でも流れたかのように硬直した。青白く発光するカメラアイが不規則に明滅し、それに合わせて機銃掃射も止んだ。 「どうしたのかしら──」 そう口にした時、機動を停止していたパルヴァライザーの外部装甲が剥がれ飛び、衝撃を受けた機体が大きくのけ反る。 その事態に驚いたノエラは慌ててベランジェの後頭部を叩き、 「待って待って、止まって!」 事態を呑み込めないながらも言葉を受けとったベランジェがブレーキを踏み込み、ジープが数メートルほど横滑りしてから停車する。ノエラは外部駐車スペースの上空を振り仰いだ。 「コーテックスの航空部隊──、私達ってツイてるみたいね」 数機で編成されたガンシップ部隊が此方へ向けて急速接近し、どうやらその内の一機の搭乗戦力が先ほどパルヴァライザーに向けて遠距離狙撃を喰らわせたらしい。実際、もう一発の砲弾が放たれパルヴァライザーを更に横合いへ吹き飛ばす。 地面にハンドカメラが無傷で落ちているのを見咎め、ノエラはベランジェの耳元で叫ぶ。 「あのカメラを回収したいの、行って!」 「無茶言うなっ。近づいたら撃たれるぞ──」 当のパルヴァライザーは被弾の衝撃で離れた場所にまで吹き飛ばされ、機体姿勢の立て直しを図っている。今ならば行けると強く踏んでいたノエラは、 「アンタ、あの映像がどんくらい値が張ると思ってんのっ。あんたの給料十年分でも足んないわよ!」 その言葉に眼の色を変えたベランジェがどうなっても知らんぞ、とかなんとか呟きながら思い切りよくアクセルペダルを踏み込み、全速力でハンドカメラのもとへジープを向かわせる。 視界の先でパルヴァライザーが機体姿勢をほぼ取り戻す中、ノエラはドアの上から身を乗り出し地面に転がるハンドカメラを拾い上げた。 「取ったわ、行って!」 速度もそのままにベランジェがハンドルを切る。完全に立ち直ったパルヴァライザーが何故か接近してくるガンシップを無視し、ジープ目がけて機銃掃射を加えてきた。 助手席で頭を出来る限り低くしながら螺旋通路へ入り込むと同時に、執拗に続いた追撃が止んだ。 どうやら、ガンシップ部隊との直接戦闘へ入ったらしい。 「俺、生きてるか……?」 青ざめた顔でそういうベランジェの前のフロントガラスは被弾によってクモの巣のようなヒビが入っている。 「ちゃんと首繋がってるわよ。心配ならミラーで確認してみなさい」 冗談めかして言った後半の台詞の通りミラーで自分の顔を確かめるベランジェに、浅く息をつく。その傍らノエラは自身の手に収めたハンドカメラを起動、記録映像が保存されている事を確認すると取り出し口から記録媒体のディスクを抜き取った。腰元のポーチから別の記録ディスクを取り出してセットし直す。 やがて元来た道を下り、十八階インターチェンジから幹線道路へとベランジェがジープを向ける。幹線道路へ飛び出した時、予想通り待機していたコーテックス地上部隊の光景にノエラは軽く肩をすくめた。 兵士の一人が停車誘導を行い、それに従ってベランジェが脇道にジープを停車させる。下車指示に速やかに従って何処ぞへと誘導される中、歩兵部隊がインターチェンジから内部へ侵入していく様子を見送る。 やがて一台の装甲車の傍へと案内され、その場にいた部隊指揮官と思しき年季の入った顔の士官と顔を合わせる。 「怪我はないかね?」 「お陰さまで、大丈夫でした。ありがとうございます」 「現在都市全域に第一種広域避難指示が発令中だ。君達はあそこで何をしていた?」 これまた予測通りの質疑応答にノエラは胸中で薄く笑み、腕章と併せてワイシャツの中にしまっていたプレスカードを持ち出した。 「GCNの報道員です。避難指示については知っていました。其処から先は、独自判断により行動していましたが」 やがて産業ビルの上層部を見上げ、 「何か、撮ったかね?」 「いいえ。特に其方の不都合になるようなものを撮影したつもりはありませんが」 ノエラは父譲りの鋭い観察眼を持っていた。だからこの時、コーテックス士官の壮年の男が保つ無表情の奥に、此方の真意を探るような動きがあったのを察知する事ができた。 「撮影記録は機材を含め接収させてもらう。君達には申し訳ないがね? 何か質問は?」 「いいえ」 ベランジェにも目配せして彼がバッグに詰め込んでいた撮影機材一式を傍にいた兵士に渡させた。ノエラも手に持っていたハンドカメラを丸ごと手渡す。 「これで全部か? 随分と少ないな」 「事態が事態でしたので、他の機材は殆ど途中で壊れました」 「そうか。君達は輸送車に乗ってくれ。コーテックス複合ビルのシェルターまで連れて行ってあげよう。撮影機材は後日の保障を約束するよ」 「感謝します」 →Next… ⑬ コメントフォーム 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/achdh/pages/78.html
第十一話*②*③ コーテックスの社有ガレージは本社施設の地下に備え付けられている。 地下に張り巡らせられたリニアなどの交通機関を利用しやすくするためだ。 もっとも、これは一般的な貸ガレージにも言えることである。 スワローはガレージの入口に取り付けてあるセキュリティーにIDカードを滑らせ、十六桁にも及ぶ暗証コードを空で打ち込む。最後に指紋と虹彩認証をパスすると、やっとドアロックが解除された。 ガレージに足を踏み入れると、赤外線センサーで人の入室を感知した照明が、自動でガレージ内を照らし出した。 只広いガレージ内には三機のACが立ち並んでいる。 一つは【ARROWS】――コーテックスの試作ネクストだ。 近日中に行われる換装作業のためか擬装装甲が外されており、専用の武器もこの間のクレスト新型戦で破壊されたため、ハードポイントには何も取り付けられていない。 ディタは使用禁止と言ったが、これで出撃は実際問題不可能だ。 もう一つは擬装装甲が施された【ARROWS】と全く同じ外見のAC。 スワローはこれを指して【アロウズ】と呼ぶ。 フレームに内部パーツや武装に至るまで全て企業の既製品で構成された、正真正銘紛れもない普通の機体だ。 本来、何らかの理由により【ARROWS】が使えない場合はこの機体を使う。 だが現在は、熱暴走を起こしかけていた【ARROWS】のコンデンサー改修のため、ジェネレーターが外され動力源が無い状態だった。 すぐに体を悪くするじゃじゃ馬な妹のために、身を粉にして働く姉のようだ。 そしてもう一つ、ブルーシートが掛けられた機体がガレージの最奥にあった。 コーテックス社がスワローに貸し与えたカスタムメイドAC――コーテックス強襲型type-A、機体コード【ベルフェゴル】――かつてスワローが使い、数え切れない戦果をもたらした機体だ。 シートを固定していたワイヤーを外すと、その全貌が曝し出される。 墨地に紅の迷彩が特徴的な中量二脚。 武装も封印した当時のままだった。 「お前をまた使うのは御免だったがな、そうも言っていられなくなった」 スワローは鋼鉄の巨人を見上げながら一人ごちた。 広大とも言えるガレージには、簡単な医療器機が置かれたメディカルルームと、機体の詳細表示やアセンブリが一括して行えるコントロールルームが併設されている。 スワローが【ベルフェゴル】を起動させるためコントロールルームに向かうと、ポケットの携帯用通信端末が鳴った。おそらくライラからだろう。 折り畳み式の端末を開けディスプレイを見ると、案の定ライラからだった。 「やあライラ、どうしたんだい」 『おはようございます。そろそろ作戦時間ですので、そのご連絡を』 コントロールルームのスツールに腰掛け、コンソールを操作し機体の詳細を表示させる。片手は端末を耳に宛てがったままだ。 『二時間後にレイヴン試験担当官として出撃です。機体チェックは宜しいですか?』 「ああ、今している所だよ」 先日の依頼(報酬は何故かきっちり振り込まれていたのであれでも依頼となる)から、ライラのスワローに対する呼び方が〈レイヴン〉から《スワロー》に変わっていた。 彼女もそれなりにスワローの力量を認めたようである。 「チェックと装備の換装に一時間程掛かりそうだ。終わり次第こちらから連絡するよ」 『もう……。余り時間に余裕はありませんからね?時間厳守でお願いしますよ』 やはり釘を刺された。確実に自業自得だったが。 コンソールパネルを操作し、外部から【ベルフェゴル】のOSを起動させる。 ラフと名付けられた機体AIが自己診断プログラムを走らせ、スワローの手元に己のスペックを事細かに表示させていく。 「分かってる、時間には必ず間に合わせる」 『しっかりお願いしますよ、貴方は試験官なのですから。それでは失礼します』 そう言って通信は切れた。最後まで念を押されっぱなしだ。 端末をポケットに戻しながら苦笑した。 やれやれ、と呟きながら自分の仕事に向かう。 確かに時間が押していた。 機体のデータチェック――完了。 機体各部――オールグリーン。 弾薬――不備無し。 問題は無い。完璧だ。 次に装備の変更に取り掛かった。 今回の仕事は直接スワローが戦闘するわけではない。あくまでも新人の力量を見定めるのが目的だ。 主兵装である右手の重マシンガンに変更は無し。 左肩部のマルチミサイルとエクステンションを外し、高性能レーダーを積む。 更に左手のバーストハンドガンをショットガンに変えて重量の安定を図る。 最後に右肩部のレーザーキャノンを軽量型グレネードキャノンに変えれば完了だ。 この作業は全てオートメーションで行われる。そのため、この大幅な装備変更も十五分程度で完了した。 ACの最大の長所である優れた互換性と汎用性は、こういった所にも支えられている。 時計を確認すると、作戦開始までは一時間半もある。 身支度する時間も充分にあった。 スワローはコントロールルームを出ると、メディカルルームに向かった。 メディカルルームには簡単なロッカーが置いてあり、彼はいつもそこでパイロットスーツに着替えていた。 メディカルルームを足早に横断し、ロッカーに辿り着く。 ロッカーを開け、上着のコートを几帳面にハンガーに掛け仕舞う。 ブラウンのウールセーターと白いコットンのシャツ、さらにベージュのスラックスも同様に仕舞い、インナーだけの姿になった。 齢五十を過ぎているとは思えない程に若々しく張りのある肌――。 これも二十年前に受けた強化手術の副産物だった。 人体の老いを司るテロメアに異常を来し、通常減るだけのテロメアを体内で合成供給するようになったのである。 しかし、投薬手術の副作用によりホルモンバランスが崩れ、朝目が覚めてみれば乳房が出ていることもあった。 それら全てが彼の背負った業であり、超人となった代償なのだ。 スワローは医療器機のキャリーからハイジェッター(無針注射器)を取り出して具合を確かめる。――問題無い。 次に薬棚を見渡し、NSAID系鎮痛剤とベンゾジアゼピン系トランキライザーの薬瓶を取り出した。 どちらも出撃前には必ず服用しなければならない、彼の身体に対する枷だ。 慣れた手付きでハイジェッターに薬液を充填し、左肘の裏側辺りの皮膚へ注射口を押し付け一息に注入する。 圧縮空気の軽い音が響き、注入された薬液が浸透していくのを実感する。 「ふぅ――」 完治したとは言え、まだ若干感じていた肌の引きつりや掻痒感などが引いていく。 コンディションもこれで万全。後は出撃するだけである。 薬棚に瓶を片付けると、ロッカーからパイロットスーツを取り出し袖を通す。 空色のスーツを身に纏うと、意識に一筋の線が通るのを感じる。それは弓に張った弦と良く似ていた。 「さて、行くか――」 弓に張る弦の如く、意識を極限まで研ぎ澄ます。 己を唯一の猛禽とするために――。 【ベルフェゴル】のタラップを上り、身体をコックピットに滑り込ませる。 開閉レバーを閉め、シートに身を沈ませると、体がその身に馴染んだ行動を無意識の内にトレースする。 計器類のスイッチを全て入れ、半分眠っていた機体AIを叩き起こす。 外部操作によりスリープモードで待機していた【ベルフェゴル】が、本格的に眼を醒ました。 【メインシステム――通常モード、起動】 無機質な男性の機械音声がコックピット内に響く。 その声を聞いた瞬間に、心の奥底に沈んでいた過去が、死霊の如く襲って来た。 かつては手足の様に駆使し、幾度となく死線を潜り抜けてきたこの機体。 栄光と羨望に彩られた記憶の中に深く食い込んだ、大切な人を失った悲愴の痛み。 助けられなかった自分の無力感。 その全てを噛み締め、咀嚼し、顔を上げた。 「フラーネ――ボクはもう一度飛ぶ。そして君との約束を守ってみせる」 過去から目を背けるのは終わり。 過去に捕らわれるのも終わり。 過去を受け止め、未来を見据えた燕は決意を新たに飛翔する。 思い耽るのを止め、ライラに連絡を入れるために通信回線を開く。 試験開始の時間まで一時間十五分ほどだ。 二回のコール音の後、オンラインを示す緑色のサインランプがメインモニターの左下に点り、【voice only】の表示が出る。 「ボクだ。こちらの準備は完了した。いつでも出撃出来る」 『了解しました。作戦の詳細確認を開始します』 ライラの返答と共に、メインモニターに一人の青年の顔写真が映し出される。 『受験者の名前はグレイ・ジェファーソン。試験依頼の内容はポイントN66-183―鉱山都市パースに居座る不法占拠者の排除。依頼者のミラージュ社からは【投降を認めず、殲滅を以て達成とする】との通達です』 ポイントN66-183を含む北方の領域では、資源採掘のためにパースのような鉱山都市が数多く存在するが、パースは採掘状況が思わしくなく、既に廃棄が決定されている都市である。 しかし、労働者にとって採掘業は生活を支える大事な収入源であり、生きるためには枯れた鉱山だとしても掘り続けなければならない。 恐らくは解雇されたことに対する抗議なのであろう。 抗議行動を続けることで、もう一度働き口をせしめようといった魂胆か。 だがミラージュは冷静で、労働者達が思うより冷酷だった。 『不法占拠者の戦力ですが、工作用機械を改造した程度のものです。はっきり言ってAC戦力を投入する程の相手ではありません』 それも当然である。 新人試験用に特別に回して貰った依頼だ。 本来ならばMTで妥当なレベルであり、歩兵でも十分達成可能な依頼だった。 「それでボクは何をしていればいいのかな」 詳細を聞けば聞くほど簡単な内容だ。 自分がすべきことなど何も無いように思えた。 『特に何も――と、言いたい所ですが、万が一にも受験者が逃亡しないように監視していて下さい』 「りょーかいりょーかい」 流石に軽すぎるスワローの態度が気になったのか、ライラが念を押してきた。 『……本当に理解していますか?グレイ・ジェファーソンが逃亡したならば、その始末まで請け負うのが貴方の今回の仕事です』 「分かっているさ、勿論ね」 『それなら結構です』 人を殺すことに慣れていない者は、往々にしてその状況下に置かれた場合、恐慌状態に陥る。 コーテックスにも敵前逃亡の前例が無い訳ではなかった。 明確な弱者は必要ない。それが世界の選択である。 『以上で作戦の詳細確認を終了します。移動は戦術輸送ヘリで行いますので、地下リニアモールからエアポートに向かって下さい』 運搬用地下通路とガレージを隔てる隔壁が開く。 「了解した。こちらスワロー、――【ベルフェゴル】、出撃する」 二、三回フットペダルの感触を確かめると、一気に踏み込み、加速した。 大推力のブースターが機体を華麗に弾き出す。筈だったが、 「…ぅおっと!?」 勢い勇んで飛び出したはいいものの、バランスを崩して壁に激突しそうになった。 なった、というよりは、右肩部装甲が壁を擦り、盛大に火花を散らしている。 慌ててブレーキを掛け減速しようとすると、逆にブレーキが掛かり過ぎてつんのめりそうになった。 「おぅぁ!?」 危うく転倒しそうになったが、ブースターのベクトルを上に向け、ショートジャンプすることで回避した。 だが、低い天井の通用路内だったため、頭部パーツが天井に激突してしまう。 狭い通用路内に鈍い音が響き渡った。 【AP99%に低下】 すかさず機体AIが絶妙なタイミングで要らない報告を入れてくる。 スワローは、このAIに対して殺意が湧くのを確かに感じた。 『どうかしましたか?まさか敵?』 「き、キサラギの生体兵器が潜り込んでいたんだよッ。もうだいじょうぶ、大丈夫だ」 ライラが怪訝に聞いてくるが、まさか素直に『コケそうになって頭をぶつけた』とは口が裂けても言えない。顔を真っ赤にしながら咄嗟に嘘をついた。 濡れ衣を着せられたキサラギにとってはいい迷惑である。 『〈エデンⅣ〉が襲撃された事といい、最近はコロニー都市と言えど油断出来ませんね……。警備局に警戒レベルを上げるように打診しておきましょう』 「そ、そうだね…。あ、あははは……」 自分の操作ミスにより、これからまた一段と仕事が増える警備局に心の中で頭を下げながら、スワローは機体の操縦に修正を加えていた。 (すっかり忘れてたな…。コイツ、馬鹿みたいにじゃじゃ馬だったっけ) 【ベルフェゴル】の操作性は、安定性など度外視のピーキーさである。 初めて乗った時など、設計したアーキテクトをぶん殴ってやろうかと思った程だ。 胸中で悪態をつきながら、エアポートに繋がる運搬用貨物リフトに機体を乗せる。 上に到着すれば、そこはもうエアポートだ。 (やれやれ…。通信が音声のみで助かったな) 今の無様な醜態をライラに見咎められたのならば、どんな説教が飛んでくるか分かったものではない。 スワローは胸を撫で下ろすと、リフトの昇降キーを押し込んだ。 コーテックス社のエアポートはそれ程規模の大きなものではない。 辺りを見渡すと、目当ての輸送機はすぐに見つかった。 機体ハンガーにACを繋留したクランウェルが一機、発進を今か今かと待ち望んでいた。 スワローは輸送機下に機体を移動させ、ハーネスでしっかりと機体を固定する。 輸送機のパイロットにはライラからゴーサインが出だのだろう。 【ベルフェゴル】の搭載を確認すると、クランウェルは鉱山都市パースに向け飛び立った。 二機のACを載せたクランウェルが、雲海の上を滑るように飛ぶ。 地表の様子は雲に遮られ良く見えない。 気象情報によれば、パース一帯は雨模様らしい。 『パース到着まで四十五分程です』 「そうか、分かった」 スワローが一眠りでもするかと、シートをリクライニングしようとした時、通信が入った。 発信者は同乗のAC――つまりグレイ・ジェファーソンからだった。 パネルを操作し、回線を繋ぐと、先程ブリーフィングで見た青年の顔がメインモニターに映し出される。 『はじめまして、グレイ・ジェファーソンと申します。スワローさんですよね?お会いできて光栄です!』 こうして声を聞くと、利発で明るい性格なのだと分かる。 人懐っこい外見と相まって、自然と良い印象を受けた。 「こちらこそグレイ・ジェファーソン。君の試験を担当するスワローだ。ボクのことを知っている口振りだけど?」 ここ数年は表立って動いた事は無い。 グレイがスワローを知り得る様な事は無いはずなのだが。 『はい!兵器災害の被害が広がり始めた時、俺が家族と一緒に住んでいた街が特攻兵器に襲われたんです。でも、たまたま近くを哨戒中だったACが特攻兵器から街を守ってくれて……。それでその時街の近くに来ているレイヴンを調べて、貴方の名前を知ったんです』 そんな事もあったかな、と記憶を辿る。 だが当時は似たような依頼や任務が多すぎて特定は出来なかった。 グレイが言う街を救ったレイヴンは自分なのかも知れないが、スワローにとっては取るに足らない事物だった。 『それで俺、貴方に憧れてレイヴンになろうと思ったんです!』 モニターに映る青年は、英雄に会えて興奮冷めやらぬといった面持ちである。 だが正直な所、自分が英雄視されるような人物でないことは、スワロー自身が一番良く分かっている。 若者特有の幻想を否定するのも面倒なので、特に何も言わずにいた。 それに試験が始まれば、この無知で無垢な青年も嫌でも思い知ることになる。 "レイヴン"というものの本質を――。 『パース上空に到着しました』 ライラから報告が入り、「いつでも行ける」と合図がでる。 スワローはグレイに試験内容を告げるため、再び回線を開いた。 「さて、グレイ・ジェファーソン。君に課せられた依頼を確認しよう」 『――はい』 スピーカーからは、若干緊張したグレイの声が聞こえてくる。 機体は既に戦闘モードに移行している。 メインモニターには人懐っこい青年の顔ではなく、これから戦場となる鉱山都市パースの全景が映し出されていた。 「内容は鉱山都市パースを不法占拠する集団の排除。坑道に立て籠もっているようだ。投降は認められない。必ず殲滅しろ」 『はい』 「敵の戦力レベルは低い。君が使うその第一世代の古臭い機体でも十分だろう」 『はい』 「ボクは近くで監督するが、君が危険に陥ろうとも、手助けは一切しない」 『分かっています』 「結構。……この依頼を達成したならば、君はコーテックスアリーナの予備ランカーとして登録され、晴れて《レイヴン》となる」 『――はい!』 「よし、では作戦を開始する」 その言葉と共に、輸送機とACを繋いでいたハーネスが外れ、雨に煙るパースへと、二機のACが解き放たれた。 →Next… ③ コメントフォーム 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/wuw-exit/pages/167.html
EXIT-79 CORE B2 2011年10月10日(祝)18 00 会場:東京・新宿CORE STADIUM 試合結果 【第1試合】WUW世界地下選手権試合 ○紅闘志也(8分14秒 TKO)竹嶋健史● 【第2試合】 ○KENDO KE ITA(12分35秒 脇固め)竹嶋健史● 【第3試合]】 ○紅闘志也(4分35秒 フロントチョーク)KENDO KE ITA●
https://w.atwiki.jp/japanesehiphop/pages/2441.html
Format Title Artist Label Model Number Release Press 12 リーサル・ウェポン FUSION CORE BLUES INTERACTIONS INC,P-VINE RECORDS PLP-6128 1999/05/25 - 224550466_624.v1435470203.jpg Side Track Title Produce A 1 リーサル・ウェポン feat.パピー飛葉 DEV LARGE 2 リーサル・ウェポン(Inst) DEV LARGE B 3 コアの方舟 DJ ANA,DJ SMALL 4 コアの方舟(Inst) DJ ANA,DJ SMALL 5 コアの方舟(Acap) DJ ANA,DJ SMALL PERTAIN CD コアの方舟 SEXAPPEAL
https://w.atwiki.jp/armoredcoreforever/pages/343.html
ACV/ORDER MISSION 8 ACV/ORDER MISSION 8ORDER MISSION 71 ORDER MISSION 72バウンサー カプリコルヌス ORDER MISSION 73ビーハイヴ タイプA0 ORDER MISSION 74タウルス ORDER MISSION 75B2K ORDER MISSION 76レオ ORDER MISSION 77キング・オブ・マッスルα キング・オブ・マッスルβ ORDER MISSION 78ブルーブラッド アウローラ ORDER MISSION 79アリエス ウィルゴ ORDER MISSION 80A BEC コメント ORDER MISSION 71 エリア BURIED FACILITY・侵攻ミッションの左 敵対勢力 - 敵主戦力 未確認機突撃型、大型未確認機 最大出撃人数 2名 作戦目標 5分以内に指定領域内の敵をすべて撃破 攻略難度 5 成功酬額 251,400 チームポイント 100 ランクボーナス S 100 サブクエスト1 時間制限(3分) サブクエスト1報酬 30000 サブクエスト1チームポイント 30 サブクエスト2 損害軽微 サブクエスト2報酬 30000 サブクエスト2チームポイント 30 損害軽微:10000 時間制限:3分。 好成績やサブミッション狙うならおそらくオーダミッション中で最難関。 上はミサイルの雨と時々レーザー、下は地雷だらけでオマケにでっかくて速い大型もいる。 突撃型と書かれているが出て来ず、射撃型とミサイル砲台がいっぱい出てくる。 出現敵すべてがTE属性に弱いが、同時に機動力も求められるためアセンブルのジレンマがある。 地形の凹凸が激しく、クライドブーストがとても発動しにくい上に発動中坂のような段差に引っかかると・・・。 面倒なミッションラスト…と思ったら大型まで登場。いつまで面倒をかける気だ! デカイのは時々足を止めることがあるのでそこを狙って蹴るなりとっつくなりしてやると◎。 ヒートロケットを背負うと誘導弾用のCIWSが積めないので注意。 数も多いので弾切れへの警戒も。 KE防御を高めた低出力ブーストの機体にバトルライフルを2丁持たせて、グライドブーストしながら乱射するだけで割と簡単にSが取れる。 ORDER MISSION 72 エリア MINING AREA・左下側の42の上 敵対勢力 MoH 敵主戦力 AC 最大出撃人数 2名 作戦目標 敵ACを撃破せよ 攻略難度 7 成功酬額 589,000 チームポイント 160 ランクボーナス S 100 サブクエスト1 時間制限(5分) サブクエスト1報酬 20000 サブクエスト1チームポイント 20 サブクエスト2 損害軽微 サブクエスト2報酬 20000 サブクエスト2チームポイント 20 バウンサー AP 41237 防御属性 KE CE TE - 1560 2036 2968 HEAD ROLAND HD41 CORE JOTUN CR113-2 ARMS ELBE AM28-2 LEGS KT-3N4 装備位置 武装 攻撃属性 攻撃力 LA UPG-16 GARDENA TE RA LOTUS BR429 CE SU PUERARIA HSM303 KE LH USR-12/V KE RH ULR-22/R TE カプリコルヌス AP 25262 防御属性 KE CE TE - 1463 206 443 HEAD UHD-10 TRISTAN CORE UCR-10/L AGNI ARMS SEINE AM106 LEGS ULG-20/L 装備位置 武装 攻撃属性 攻撃力 LA UHP-07/A CE RA KO-4H4/MIFENG CE SU UMM-20/H SURAT TE LH ULB-13/L UTICA TE RH SOPHORA BHG16/2 KE 作戦文からは相手が誰なのかわからないが、オズワルドが登場。直進位置から右寄り辺りにいる。 KE弱点だが硬く、弱体400ガトだと悲しいくらいに弾かれる。 かなり強力なTE武装プラズマガンを持ち、ビル群の中という立地も相まって戦いにくい。 さらにゾディアックAC「カプリコルヌス」が登場、初期位置からまっすぐ直進の崖から降りてくる。機動性が高いがCEに弱い。 両ACとも高威力ライフル・バトルライフルで対応可能。オズワルドにあまり時間を掛けたくない。 損害軽微のサブクエストは、OWのマルチプルパルスなどでバウンサーを撃破→カプリコルヌスが出現後、着地するまでにヒートロケットなどを連射、という方法が楽。 実績・トロフィー「MoH」 初期では棺桶そのものだったバウンサーだが、アップデートによる環境変化で超高DPS等が消えた今では、相対的にかなりガチガチになっている。ミッション消化で多様されがちなW威特ランポやW速特バトライ、Wパルマシ等が通らないので初心者は注意。 開始地点右側の橋の鉄骨の上に乗って正面を見ればバウンサーが見える、そこからスナイパーキャノンで撃ち抜くと楽。その位置ならカプリコルヌスも捉えられるので残りの弾も撃ってしまおう。相手はまっすぐ突っ込んでくるため運が良ければそのまま終わる ORDER MISSION 73 エリア UPPER ARIA 敵対勢力 ミグラント 敵主戦力 AC ビーハイブ タイプA0 最大出撃人数 2名 作戦目標 敵ACを撃破せよ 攻略難度 7 成功酬額 285,600 チームポイント 130 ランクボーナス S 100 サブクエスト1 時間制限(30秒) サブクエスト1報酬 10000 サブクエスト1チームポイント 10 サブクエスト2 損害軽微 サブクエスト2報酬 20000 サブクエスト2チームポイント 20 ビーハイヴ タイプA0 AP 40118 防御属性 KE CE TE - 1912 1714 859 HEAD UHD-15 KURMA CORE KT-3O2 ARMS EMS AMS28-2S LEGS CINTO LG104-2 装備位置 武装 攻撃属性 攻撃力 LA KO-2H6/STREKOZA CE RA TANSY RF12 KE SU USM-14 MATHURA CE ビーハイヴ教の黒幕。クイーンビーを教祖に仕立て上げ、信者が集めたACパーツを売りさばいていた。 組織を壊滅させられた相手にタイマンを挑んでくる。余程腕に自信があったのか。 ライフルとバトルライフル、CEショートミサを装備した中量二脚。 TEに弱いが威特パルマシをギリギリ弾ける防御を確保している。バトライ連射の方が有効。 サブクエストを狙うなら、両手レザライ肩ヒートロケットを敵にひたすら当て続けるのがいいかも。 ORDER MISSION 74 エリア UPPER ARIA・ストーリー07の左 敵対勢力 ゾディアック 敵主戦力 AC 最大出撃人数 2名 作戦目標 敵ACを撃破せよ 攻略難度 8 成功酬額 352,800 チームポイント 130 ランクボーナス S 100 サブクエスト1 時間制限(4分) サブクエスト1報酬 30000 サブクエスト1チームポイント 30 サブクエスト2 損害軽微 サブクエスト2報酬 30000 サブクエスト2チームポイント 30 タウルス AP 53854 防御属性 KE CE TE - 1467 1741 5015 HEAD UHD-15 KURMA CORE UCR-25/D RATRI ARMS KT-1S/AMUR LEGS ULG-93/A 装備位置 武装 攻撃属性 攻撃力 LA UHC-24/R CE RA CALEBASSE AC109 KE SU PESTWURZ VM108 KE LH UBR-05/R CE RH USG-23/H KE ルートを直進すると敵機出現。 ACタウルス。ガッチガチにTEを高めたオートキャノン装備のタンク型。 こちらもKEをガチガチに固め、ライフルやショットガンで旋回射撃してやるといい。 欲張ってパイル取っつきを狙うとヒートキャノンからブーストチャージ反撃されて・・・ 四脚にスナイパーキャノンを積み、敵機出現と同時に後ろに全力ブースト、狙撃するとあっさり勝てる。 ORDER MISSION 75 エリア BURIED FACILITY・ストーリー09の右 敵対勢力 ミグラント 敵主戦力 AC B2K 最大出撃人数 2名 作戦目標 敵ACを撃破せよ 攻略難度 8 成功酬額 チームポイント ランクボーナス S 100 サブクエスト1 時間制限(30秒) サブクエスト1報酬 10000 サブクエスト1チームポイント 10 サブクエスト2 損害軽微 サブクエスト2報酬 20000(5000以下) サブクエスト2チームポイント 20 B2K AP 47121 防御属性 KE CE TE - 1861 2458 3778 HEAD UHD-13 GALAHAD CORE KT-3O2 ARMS UAM-10/R LEGS ULG-93/A 装備位置 武装 攻撃属性 攻撃力 LA CALEBASSE AC109 KE RA KO-6K2 KE SU UVF-17 KE RH KO-2H6/STREKOZA CE 見敵必殺(サーチアンドデストロイ TECEが鉄壁のガチタン。紹介文にある通りKE狙撃には滅法弱いが、ショットガンやライフル1700の威力を持ってしても弾く硬さ。 接近戦は禁物として、スナイパーキャノンでの遠距離戦を基本とする。と言いつつ初期位置は近距離だったり。 ちょろちょろ動いて仕留めきれなかった場合、頼りになるのはやはりパイル。左回りだとオートキャノンを受け難い。 そんな彼もOWの一撃には耐えられない。ですよねー。主任砲がオススメ。 開幕Wパイル一撃とか、素敵やん・・・?まっすぐ行ってぶっ飛ばす。右ストレートでぶっ飛ばす。 一瞬の油断で損害軽微のサブクエが達成不可になる火力にだけは注意。と言うか捕まると死ねる。 ORDER MISSION 76 エリア ALPINE BASE・右上 敵対勢力 ゾディアック 敵主戦力 AC 最大出撃人数 2名 作戦目標 敵ACを撃破 攻略難度 8 成功酬額 332,700 チームポイント 130 ランクボーナス S 100 サブクエスト1 時間制限(4分) サブクエスト1報酬 30000 サブクエスト1チームポイント 30 サブクエスト2 損害軽微 サブクエスト2報酬 30000 サブクエスト2チームポイント 30 レオ AP 37422 防御属性 KE CE TE - 2056 1599 609 HEAD UHD-13 GALAHAD CORE KT-3O2 ARMS WESER AM29 LEGS CINTO LG104-2 装備位置 武装 攻撃属性 攻撃力 LA KO-3K2 KE RA KO-2H5/STREKOZA CE SU USM-14 MATHURA CE LH OXEYE HG25 KE RH LB-66 MOONLIGHT TE またまたゾディアックACレオさんの登場。 前回に引き続き一定ダメージを与えると撤退するため普通にやるとマイナス報酬になりやすい。 今回は射撃寄りのロジック。近づくとハンドガン+月光に切り替えてくるが、前のミッションほど積極的に月光を振ってこない。 奥の基地に静止しているので、前と同じく遠距離からOWのHUGE CANNONで狙撃するといい。起動前にロックオンサイト中心点を合わせておくと◎。 数少ない(というか唯一?)の交戦中に会話が入るAC戦。しかし本作の仕様上相性次第では蒸発してしまい、会話が聞けない事もままある。無情。 ORDER MISSION 77 エリア URBAN AREA・侵攻ミッション真上 敵対勢力 ミグラント 敵主戦力 AC キング・オブ・マッスルα/キング・オブ・マッスルβ 最大出撃人数 2名 作戦目標 敵ACを撃破 攻略難度 9 成功酬額 620,900 チームポイント 160 ランクボーナス S 100 サブクエスト1 時間制限(1分) サブクエスト1報酬 20000 サブクエスト1チームポイント 20 サブクエスト2 損害軽微 サブクエスト2報酬 30000 サブクエスト2チームポイント 30 キング・オブ・マッスルα AP 41337 防御属性 KE CE TE - 1852 1415 3203 HEAD SIEGFRIED HD33 CORE JOTUN CR113-2 ARMS UAM-23 ANIMAS LEGS KT-1N2/ELBRUS 装備位置 武装 攻撃属性 攻撃力 LA KAMILLE PC16 TE RA ERBSEN SC62 KE SU UMM-21 DIMAPUR CE LH UEM-34/R TE RH SEIDENBAUM SR13 KE キング・オブ・マッスルβ AP 35843 防御属性 KE CE TE - 1590 1157 2770 HEAD UHD-15 KURMA CORE JOTUN CR113-2 ARMS UAM-10 SEVERN LEGS ULG-05 TOLIMA 装備位置 武装 攻撃属性 攻撃力 LA UBR-05/R CE RA KO-2H6/STREKOZA CE SU USM-14 MATHURA CE LH KO-4H2 CE RH BD-0 MURAKUMO KE α(タンク)はスナイパーキャノンとパルスキャノン装備、β(重二)はバトルライフルとミサイルを装備。 タンクに比べると重2は突っ込んできやすいのでビルを利用して2機を分断して重2から倒そう。 御察しの通り超エイムでタンクの砂キャは普通に当ててくる。ぼーっとしてると固め殺されるので注意。 重二はハンガーにロマン武器が詰まってるが、安定性能や対反動性能が低いのでハンドガンで簡単に動かなくなる。 共にCEが弱点。CEを固めてバトルライフル二丁持ち、ミサイル迎撃でシフトは完璧。 βは開始時点でαの周りに陣取っており、被弾してもこちらが寄って行かない限りその場を離れようとしない。 開始地点少し下がって右側のビルに右半身を隠してもαは狙撃してくる、しかし左側の倉庫っぽい建物に左半身を隠すと撃ってこない。従ってここから右手スナイパーキャノンを構え、遠距離なら被弾しても動かないβを始末しておくと楽。 ORDER MISSION 78 エリア MINNING AREA・左下 敵対勢力 ミグラント 敵主戦力 AC アウローラ/ブルーブラッド 最大出撃人数 2名 作戦目標 敵ACを撃破 攻略難度 9 成功酬額 600,100 チームポイント ランクボーナス S 100 サブクエスト1 時間制限 サブクエスト1報酬 20000(1分) サブクエスト1チームポイント 20 サブクエスト2 損害軽微 サブクエスト2報酬 30000 サブクエスト2チームポイント 30 ブルーブラッド AP 43536 防御属性 KE CE TE - 1541 1688 3128 HEAD UHD-22 LANCELOT CORE KT-3O4/XIEZHI ARMS UAM-10 SEVERN LEGS ULG-92 VINDHYA 装備位置 武装 攻撃属性 攻撃力 LA UST-21/R CE RA UHC-24/R KE SU PESTWURZ VM108 KE LH KO-2H6/STREKOZA CE RH JEWELWOOD HH06 CE アウローラ AP 34808 防御属性 KE CE TE - 1947 1639 545 HEAD HD-223 RAIKO CORE KT-3O2 ARMS ELBE AM28-2 LEGS ULG-21 装備位置 武装 攻撃属性 攻撃力 LA UTG-36 STAMFORD KE RA ARACHIDE EG13 TE SU YACON VM105 KE LH UTG-35 KE RH LOTUS BR429 KE タンクと中量二脚のコンビ。ターゲットガンとミサイルをコンビにしている。 ミサイルは肩装備で迎撃。左のタンクはKECEに比較的弱く、右の二脚はパルスマシンガン装備でTEが弱点。 ミサイルパーティ状態なのでプラズマガンも有効。 右の二脚をパルスマシンガンで仕留め、しかる後にタンクを沈める。タンクの設置したミサイルユニットに目標を取られるので注意。先にタンクをとっつきしに行くと迎撃されがちだが、一気に勝負を決められる可能性がある。 ORDER MISSION 79 エリア URBAN AREA・右下 敵対勢力 ゾディアック 敵主戦力 AC 最大出撃人数 2名 作戦目標 敵AC撃破 攻略難度 9 成功酬額 515,100 チームポイント 160 ランクボーナス S 100 サブクエスト1報酬 30000(4分) サブクエスト1チームポイント 30 サブクエスト2 損害軽微 サブクエスト2報酬 30000 サブクエスト2チームポイント 30 アリエス AP 40462 防御属性 KE CE TE - 1724 1927 2915 HEAD HD-223 RAIKO CORE JOTUN CR113-2 ARMS ELBE AM28-2 LEGS KT-3N2/BARGUZIN 装備位置 武装 攻撃属性 攻撃力 LA LOTUS BR429 CE RA USG-23/H KE SU PUERARIA USM303 KE LH OXEYE HG25 KE RH UHP-07/A CE ウィルゴ AP 25479 防御属性 KE CE TE - 1580 242 483 HEAD UHD-10/A GAWAIN CORE OSTARA CR113 ARMS SEINE AM106 LEGS ULG-20/L 装備位置 武装 攻撃属性 攻撃力 LA SOPHORA BHG16-2 KE RA UEM-45/E DAVIS TE SU USM-14 MATHURA CE LH GINESTRA BHG16 KE RH DALIA LB44-2 TE ACアリエスと戦闘。重量二脚でKE1700、CE1900、TE2900程度の重装甲を持つ。武装はKEガトリングとバトルライフル。 次にACウィルゴと戦闘。軽量機でCE、TEに弱い。武装はバトルライフルとアンプされたTEパルスガン、レーザーブレード等。 バトルライフル二丁持ちとCIWSを積み、隙あらばパイルやブーストチャージを狙ってみよう。脚はTE対策に重量二脚にしてみる。 KEパーツに4脚装備。腕にスナイパーキャノン、ハンガーにバトルライフル、肩にCIWS。ACアリエスはスナイパーキャノンを初期位置から下がりながら。ACウィルゴは上空からバトルライフルで。 アリエスに主任砲。ウィルゴにバトライ2丁で完封。 ORDER MISSION 80 エリア URBAN AREA・右上 敵対勢力 ミグラント(元シティ警備部隊) 敵主戦力 AC A/BEC 最大出撃人数 2名 作戦目標 敵ACを撃破 攻略難度 10 成功酬額 527,700 チームポイント 150 ランクボーナス S 100 サブクエスト1報酬 20000(1分) サブクエスト1チームポイント 20 サブクエスト2 損害軽微 サブクエスト2報酬 30000 サブクエスト2チームポイント 30 A AP 35899 防御属性 KE CE TE - 1543 2731 348 HEAD SIEGFRIED HD33 CORE JOTUN CR113-2 ARMS KT-4S2/SVIR LEGS EIFEL LG210-2 装備位置 武装 攻撃属性 攻撃力 LA KO-5K3/ZLATKO KE RA AKAZIEN SR15 KE SU UMM-21 DIMAPUR CE LH USR-12/V KE BEC AP 39058 防御属性 KE CE TE - 811 1487 1084 HEAD HD-19 CHROMEEYE CORE UCR-25/D RATRI ARMS SEINE AM106 LEGS ODENWALD LG210 装備位置 武装 攻撃属性 攻撃力 LA AULNEE LR230 TE RA ULR-22/R TE SU HABAS HSM301 KE LH LAPSANE LR220 TE A(白)はTE弱点でスナイパーライフル二丁持ち。BEC(赤)はKE弱点でレーザーライフル二丁持ち。 これまでの敵AC2機ミッションとはうってかわって割とまともに攻めてくるため分断しづらく、2機を相手にすることになるため結構辛い。 スナイパーライフルが痛いのでKEを上げよう。 赤い方は比較的地上を移動し引き撃ちするので追いかけ先に倒してしまいたい。 赤はなんと弱体化400ガトですら通じる位に紙装甲。白もパルスマシンガンで追い回せばすぐに溶ける。 コメント 71は突撃型ちゃんと出てくるはずだぞ、開始地点でうろうろしてたら、ミサイルと一緒に飛んでくる -- 名無しさん (2012-03-03 21 37 03) 空のACデータを書くだけのために攻略記事消すとはいい度胸だ 次はスキャンしてから書きなさい -- 名無しさん (2012-03-17 00 04 29) オズワルドは橋の上から狙撃したら一瞬でとけたよ -- 名無しさん (2012-03-24 22 20 30) 79は砂砲とバルスキャノンもってったて、最初に砂砲で最初を殺って。つぎに高架下に立ってリコンを出すそれで敵が上にいるの確認したらバルスを発射すると簡単に出来ました -- 名無しさん (2012-04-08 11 20 50) 74の開幕離脱するアンジーは主任砲で落とせた。ヒュージミサイルはロックしても当たらなかったが -- 名無しさん (2012-04-10 15 38 11) 71ですが、機動力の高い重二脚、コアto -- 名無しさん (2012-05-03 04 12 18) 71ですが、脚ULG-05 TOLIMA(重二)、コアKT-3O2(CE)、腕ELBE AM28-2(CE)、頭SEALEYE(TE)、肩500CIWS、両手UBR-05/R(バトライ威特)を用い、見かけた敵をすぐに倒すようにしてみたところ、報酬21万でSを取得できました。FCS・ジェネ・ブースターは適当に200程度・高出力・高加速です。ハンガー武器も必要ありません。 -- 名無しさん (2012-05-03 04 33 50) ・・・何か妙な操作をしてしまい、編集途中のものが入ってしまったみたいです。すみません。 -- 名無しさん (2012-05-03 04 34 56) 72番カプリコルヌスのRA抜けてますよ?「KO-4H4/MIFENG」どなたか編集できる方お願いします -- 名無しさん (2012-07-06 15 16 05) OM75攻略法として、ガチタンは防御系統と反比例して安定性が下がるためハンドやシャッガンで固めるのが有効。開始左側にある鉄塔を壁にしつつ登ってBDで簡単に背中を取ることが可能なので、あとは固めてとっつき。 -- 名無しさん (2013-03-08 02 07 12) OM77ha -- 名無しさん (2013-04-07 01 04 41) OM77は開幕直後左の倉庫に移動して、遠距離FCSとバトライ2丁でヒットアンドウェイすれば安全に撃破できる。損害軽微が難しい方はオススメ -- 名無しさん (2013-04-07 01 08 08) 買ったばかりの時にオダミ一周回したときは80の敵勢力に確かに元警備部隊ってなってるのに最近見直してみたら消えてた 何があったのか -- 名無しさん (2013-04-21 21 10 21) 安定が高い四脚で突っ込んでとっつく。簡単だね! -- 名無しさん (2021-02-02 17 12 28) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/keimodwiki/pages/11.html
概要 名前 けいさんのMod前提 (Kei s Core Mod) 概要 けいさんのModの前提です バージョン 1.7 ダウンロード 1.7 最新 ver.1.0.2β +旧 旧 1.0.1β 1.0.0β 1.0.1α 1.0.0α アップデート内容 1.0.2β 2019/06/12 18 30 修正 名前がitem.名前.nameやtile.名前.nameになっていたのを修正 1.0.1β 2019/06/12 18 19 修正 ブロックのモデルが反映されていなかったので修正 1.0.0β 2019/06/12 17 55 追加 ブロックの追加 その他 β版に突入 1.0.1α 2019/06/11 19 42 追加 アイテムを追加 1.0.0α 2019/06/10 19 50 追加 アイテムを追加 その他 Mod製作開始